夫が知らぬ間に人体に有害な不凍液を飲み物に混ぜて摂取させ、急性腎障害を患わせた看護助手の女について、静岡地裁沼津支部は6月30日、執行猶予付きの判決を言い渡しました。
判決を受けたのは裾野市茶畑に住む看護助手の女(44)で、車のエンジンを冷却するラジエターや床暖房に使用される不凍液を夫(当時51)の飲み物に混ぜるなどして摂取させ、約50日間の入院が必要な急性腎障害などを患わせた傷害の罪に問われていました。
6月30日の判決公判で静岡地裁沼津支部の薄井真由子 裁判官は「非常に危険で、被告が不凍液の危険性を十分には把握していなかったとしても悪質性は高い。被害者は一時、生命が危ぶまれる状態に陥り、回復不能な末期慢性腎不全の後遺障害が残ったことで生涯人工透析が欠かせなくなるなど結果は重大」と述べました。
また、女が犯行動機に夫のモラハラに苦しんでいた点を挙げたことについても、「犯行直前に具体的なモラルハラスメント行為があったわけではなく経緯に酌むべき事情は乏しい」と指摘しています。
一方で、被害者が一切の刑事処罰を求めておらず、元通りの生活に戻ることを望んでいる点や女が夫に対して腎移植を希望している点などを理由に、女に対して懲役3年・執行猶予5年(求刑:懲役4年)とした上で、猶予期間中を保護観察とする判決を言い渡しています。
最後に薄井裁判官が「危険かつ重大のことをしたと自覚してほしい。今後の夫婦生活で不満を抱くこともあると思うが、我慢するのではなく誠実に向き合っていくことが必要で、それが罪に向き合うことになる」と話すと、女は裁判官を真っ直ぐに見つめながら、すすり泣きました。