30日、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した小泉進次郎農林水産大臣は、「JA(農協)改革」について、「高く買い取ってもらえる所を農家さんが選べる環境を作るべき」と農家にとって農協以外の出荷先、流通先がある環境を目指すと語った。

■「農家の気持ち分かってない」 JA組合長の直言に小泉農水相「ぜひ会いたい」
小泉農水相が打ち出すJA改革に当事者は何を思うのか。番組では、12年にわたって福岡県内で組合長を務める重鎮、JA直鞍の堀勝彦さん(83)を取材した。
(Q.小泉進次郎農水相についてどう思う?)
JA直鞍(福岡県) 堀勝彦組合長:いまの進次郎さんの考えと動きは、ちょっとクエスチョンマーク。ある日、突然宇宙からポンッと来て、農協改革というか、そういう取り組みは、いかがなものかなと思う。今の農家の気持ちは、全然分かってない。消費者の価格の問題だけしか、改革ではなく、農協を潰すのか?小泉大臣が、今後JA・農協をどうするのか?一回、大臣に会わせた方がいいよ、俺を。会いたい…。
青木源太キャスター:農業をやってらっしゃる方にも直接会ってますし、JAの方とも会おうとしてらっしゃいますよね。
小泉進次郎農水相:会おうとしてるというか、会い続けてるんですけどね。JAのトップの山野会長や、全農の八木岡さん、そして大臣に就任して直後に、北海道では北海道のJAトップ、そして埼玉でもJAのトップ。会い続けてるのに、”会ってない”的なことを言われるのも、残念だなと思うんですけど。
先程ご紹介のあった、福岡の堀組合長ですか。ぜひお会いしたいですね。堀組合長だけではなくて、実は私に対して物申したいという組合長さん全国でいらっしゃるので、最近も私のX(SNS)で、福井のJAのトップの方にも、『直接お会いしませんか』と投稿させていただいたし、なのでぜひ、お会いをさせていただきたいと思います。
私が農協を潰そうとしてるということはないです。潰れるかどうかは、農家の皆さんに選ばれるかどうかだけだと思います。

■「農家の選択肢を広げる」 小泉農水相が語る“真の農協改革”とは
青木源太キャスター:でも改革したいというのがあるわけですよね?
小泉進次郎農水相:それはもちろんです。私からすれば農家の皆さんに対して必要とされるJAであり続けてくれれば、それはJAの役割を果たしたということになると思いますが、一方で今農協に対して、米の流れも減ってるんですよね。
農家の皆さんが使う、ダンボールや肥料や農薬や農業機械、こういったものを農業資材と言いますが、農業資材を海外から輸入をして、それを高く売るのがJAグループの仕事ではありません。農家の皆さんに、いかに安く良いものを売るかが1つ大事で。
そしてその後に、農家の皆さんが作ったものを、いかに付加価値がつくマーケットを開拓をしていただいて、農家の皆さんの手取りが上がるかが、私はJAが一番大切なことだと思います。なのでそういうJAであれば、農家の皆さんから必要とされるでしょうし、そうじゃないと思われれば、農家の皆さんがJAじゃない所を出荷先、取引先として選んでいく。そういったことだと私は思います。
私から申し上げたいのは、農協が大事なのは分かります。だけど農家の方にとっては農協だけしかないという環境と、農協と他の組織も選べるという、他の流すルートも選べるということの、この選べる選択肢を用意することは、私は大事だと思います。

■“農家が売り先を選べる環境へ” 小泉農水相が描く農協改革の具体的青写真
フジテレビ元解説委員・ジャーナリスト 風間晋さん:農家が選ぶために、あるいは選べるようにするために、小泉大臣が何をしようとしてるのかというのが大事な所で、農家が選ぶという形があればそれでいいということではなく、今まで選べてないわけだから、そこをどう変えるんですかという所をお伺いしたいです。
小泉進次郎農水相:最近私がお話をしている中で、ちょっと専門的になるんですけど、米農家さんが販売をする時に、今は農協は基本的には概算金と言って一時金を払うんですよね。こういった形は、他の調達する先は、委託ではなくて買い取りをするんです。ですので、この農家さんからすると、どこに自分が作った米を売るかという時に、競争条件は同じにしたほうがいいと思います。
その中でより高く買い取ってもらえる所を農家さんが選べる環境を作るべきです。今は残念ながらそうなってないケースもあります。こういったことを必要だと思って、私はこの概算金の形についても、これからは基本、一時的なお金を払う一時金、これが基本だけではなくて、買い取るということを持って、農協には米農家さんが作ったものを、リスクを取って責任を持って売ってもらいたい。そのことで選ばれる農協であってもらいたいし、そうでなければほかのところが買っていくという、農家さんから見れば売り先選べた方が、絶対、競争力・交渉力上がるじゃないですか。私が目指しているのは、そういう環境を作ること。
風間晋さん:それをやるとお米の価格高くなりますよね?
小泉進次郎農水相:これは今、マーケットの中の動きを見ていて、最終的に日本の経済力が強くなって、お米が3000円であっても、4000円であっても、消費者の皆さんがしっかりと買えるだけの経済にして行く必要は、間違いなくあります。その上で、これ各産業どこもやっていることですが、今の物価高のこととか、資材が上がっていることとか、しっかり反映ができて、手取りが上がる環境を農業の世界にも作っていかなきゃいけないというのは、当然のことですよね。
そういう時に生産者の皆さんから見て、自分の事をより高く評価して、販売をしてくれる所を、複数の選択肢がある環境を作ることは大事ではないですかというのが、私のものです。

■農協グループ全体のあり方に改革の必要性
政治ジャーナリスト 青山和弘さん:JAの大きな構造的な問題として、やはり銀行がくっついている。JAバンクは、108兆円の預金残高で、もうメガバンク並みですよね。実はそういうものが儲けの中心になっていて、そのために零細農家、兼業農家を守っていかなきゃいけない、それがいわゆる農業の発展と利益相反を起こしてるんじゃないか。この問題まで切り込むという気は小泉大臣にはないんでしょうか。
小泉進次郎農水相:これは農林中金の問題もありますし、農協を1つ1つ地域ごとに見ていくと、実は金融、信用の世界でなんとか立っていて経済事業では赤字というのが、ほとんどなんですよね。なのでこれから、農林中金に関係する法律は、法改正の方向で今動いています。その中でどのように、農協が本来果たしていただくべき、組合ならではの共同購入と、そして共同調達と共同利用。農家の皆さんが自分であまりに大きいリスクを背負うことなく、農業にしっかりと営み続けられる。こういったところの本来の役割を果たしていただくべき、グループ全体としてのあり方がどうなのかというのは、私は改革の必要性はこれからもあると、私は基本的には思っています。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月30日放送)
