近年、私たちの住まいに異変が起きています。

影響は新築マンションだけにとどまりません。賃貸物件の家賃にも大きな上昇の波が押し寄せており、「住みたい場所に住めない」という状況が現実のものになりつつあります。

街の人に話を聞くと、「大阪ではもう探してないです。もう無理なので」という声も。

専門家は土地価格の高騰や建築資材費の上昇、さらには中東情勢の影響といった複合的な要因を挙げ、価格上昇がしばらく続く恐れがあると指摘します。

一方で、限られた空間を賢く使う「スペパ」=スペースパフォーマンスという新たな考え方が広がりを見せています。

■大阪の住宅価格が急上昇…トランクルームの需要が急増

去年、大阪市の分譲マンションの値上がり率が世界の主要都市の中で1位になったり賃貸物件の賃料上昇率も東京23区を上回ったというデータがあり、分譲、賃貸を問わず価格が急上昇しています。

不動産価格の上昇を受け、もはや小さめの物件を選ばざるを得ない状況の中、需要が大きく伸びているのは、生活用品などを保管できる「トランクルーム」です。

市場規模は15年あまりでおよそ3倍になったという調査結果もあります。

大阪市内に去年できた新しいトランクルームを見せてもらうと…

【収納ピット経営管理課 吉川伽名子課長代理】「1.4畳ですね。単身世帯の方だったら一人暮らしの家電家具とか一式入れていただけるような形にはなっているかなと」

季節の家電、趣味の道具、使っていない家具など、保管する物はさまざまです。

【収納ピット経営管理課 吉川伽名子課長代理】「ご自宅の収納スペースが足りないという方が引っ越して広い部屋に行かれるよりはトランクルームを借りている方が経済的に合理的なんじゃないかなと思って借りていただく方が多い」

■『スペパ』が注目!

なぜ、これほどまでに価格が上がり続けているのでしょうか。

大阪を中心に住宅の設計・販売を手掛ける「ハウスコード」の舩塚守設計部長は、「この10年の中で、まず土地の価格が非常に高くなっています。1.5倍以上の価格がつく中で、昔ほどの大きさを購入できるということが少なくなりました」と説明します。

さらに、建築資材や人件費の高騰に加え、緊迫する中東情勢が販売価格の値上がりに追い打ちをかけているといいます。

■「仕切らない」がポイント

そんな状況の中、今、注目されているキーワードが『スペパ』です。

『スペパ』とは、スペースパフォーマンスの略で、限られた空間を効率的かつ効果的に活用すること。

ハウスコードでは、このスペパの考え方を取り入れた「スペパ住宅」として狭小住宅を提案しています。

案内してもらったモデルハウスは、20坪の敷地に建てられた2階建て。取材したディレクターも「狭い感じに全然見えない」と率直な感想を漏らしました。

狭い土地に建てられるいわゆる「狭小住宅」。モデルハウスを案内してもらうと、中には、こだわりの『スぺパ』が!

そのポイントは「仕切らない」ことにあります。

【ハウスコード 舩塚守設計部長】「家というと部屋で全部区切りがあるような考え方なんですけど、『家全体で1つ』と考えることで、いろいろ広がりをつくれる。吹き抜けも一体で計画するので、全部が繋がっているような作り方になっています」

■2LDK・3階建て住宅の建築費用は2700万円

実際に「スぺパ」を意識した狭小住宅を大阪市天王寺区で建てた田中さん(仮名)のお宅を見せていただくことにしました。

敷地は幅約4メートル、広さは11坪。モデルルームの半分ほどという狭さです。そこに2LDK・3階建ての住宅が建てられています。

玄関横のスペースは夫のワークスペースとして活用されており、柱の横のデッドスペースは収納に。貴重品や書類など「あまり見せたくないけどよく使うもの」を収める場所として機能しています。

さらに、空間を広く見せる工夫として、窓を大きく設けることで開放感を確保しています。

田中さんは「最初、建てる前はもっと狭く感じるかなと思ったんですけど、窓も大きく作ってもらったので、開放感はあるかな」と満足の様子。

舩塚設計部長も「コンパクトな中でも抜けがあったりとか、広さを感じる一つの方法なのかな」と話します

■「想像の何倍もよかった」と田中さん

天王寺区という土地代が高いエリアに、田中さんの父が所有していた土地を活用して建てた建築費用は2700万円。

田中さんは「夫は実際に土地を見たときに『狭い、大丈夫かな、こんなんで家建つ?』という感じだったんですが、想像の何倍もよかった。開放感もあって、狭いとは思うけど気になる狭さではないし、こだわりも叶えてもらったので快適に過ごせています」と、満足そうに語りました。

■「探し方次第でまだまだ良い物件は見つかる」と専門家

住宅環境の専門家は、大阪市内でも探し方次第でまだまだ良い物件は見つかるといいます。

【関西大学環境都市工学部 岡絵理子教授】「みんながいいと言っている街がいいとは限らないので。自分の生活にとって大事な価値感っていうのを持ってもらうと、大阪はまだまだ選択肢があるので、しっかり探してほしいなと思います」

一方岡教授は「ただ、そこに新築とか築浅とか条件つけたらだめですよいくらでも掘り起こしてほしい」と付け加えます。

不動産価格が高騰する今の時代にも、視点を変え、工夫を凝らすことで理想の住まいを手に入れることができるかもしれません。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年5月29日放送)

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