かつての放課後は…
かつての放課後には、広がりのある空間があって、そこで友達とともに自由な時間を過ごし、自分たちがやりたいことをやっていました。
その中で、仲間とのコミュニケーションや遊び方の工夫などを通して、身近な出来事の変化に気づいたり、学んだり、そこから何か別の物事へと意識を向けていったり…。子どもたちは遊び、楽しみ、ときには一人でぼんやり過ごしながら自分の世界を広げていったのです。
その時間には、たくさんの小さな「やった!」や「できた!」、「やりたい!」や「どうして?」、「わかった!」があり、それが非認知能力を育んでいました。
もし、そこで子どもが工夫をこらしていた遊びの時間に「そんな遊びはつまらない」「遊んでいる時間がもったいない」「それよりもっと勉強しなさい」と、大人が介入し、勉強の時間にすり替えてしまったとしたら、それは成長の邪魔になっているといえます。遊びよりも勉強のほうに価値があるなんていうのは大人の勝手な偏見ですから。
今の子どもたちは学校や塾、習い事などの座学に忙しく、試行錯誤しながら自分の世界を広げていく遊びの時間を持ちにくくなっています。そんななか学童保育は、子どもたちに遊びの体験価値と人との関わりを持てる放課後を提供できるのです。

島根太郎
株式会社東急キッズベースキャンプ代表取締役社長。一般社団法人キッズコーチ協会代表理事。2006年キッズベースキャンプを創業。民間学童保育のパイオニアとして業界を牽引。2008年12月には東急グループ入りし、東急グループの子育て支援事業の中核企業としての展開を開始。一般社団法人民間学童保育協会、東京都学童保育協会で理事を務める。保育士資格保有。