7月6日から8日間の日程でモンゴルを公式訪問されている天皇皇后両陛下。天皇陛下が初めてモンゴルを訪問されたのは、今から18年前の2007年7月。当時皇太子だった陛下のモンゴルご滞在の様子を取材した平成19(2007)年8月19日放送「皇室ご一家」(第1434回 皇太子さまモンゴルへ)を振り返る。
なお本記事は当時のナレーションをそのまま記載。天皇皇后両陛下をそれぞれ「皇太子さま」、「雅子さま」と記載する。
皇太子さまモンゴルご到着 歓迎式典へ
皇太子さまは7月10日から8日間の日程で、国交樹立35周年を迎えたモンゴルを公式訪問されました。皇太子さまがモンゴルをお訪ねになるのは初めてのことです。

かつてチンギスハンによって大帝国が築かれたモンゴルは、ロシアと中国に挟まれた内陸の国です。日本のおよそ4倍の国土に256万人が暮らし、その多くが牧畜などを行う遊牧民です。

首都・ウランバートルに到着された皇太子さまは、早速、スフバートル広場で行われた歓迎式典に臨まれました。

この後、エンフバヤル大統領を表敬され、夜には、大統領主催の晩さん会に出席されました。
スポーツの祭典「ナーダム」をご観戦
翌7月11日、皇太子さまは、中央スタジアムで開催されたモンゴル最大のスポーツの祭典「ナーダム」の開会式に出席されました。

毎年、革命記念日の7月11日に行われる「ナーダム」は、国を挙げての大イベントで、今年も各地から多くの人が参加しました。
騎馬隊を先頭に、歴史を感じさせる民族衣装での入場行進です。

ナーダムは、伝統的な相撲、弓、競馬の三つの競技で力と技を競い合います。皇太子さまは、まず、モンゴル相撲をご観戦。

勝者が両手を広げる「鷹の舞」を興味深げにご覧になっていました。
次に弓競技の会場へ。集まった市民の歓迎に笑顔で応えていらっしゃいました。

競技終了後、「ノム」と呼ばれる独特な弓を手にされた皇太子さま。間近で実演をご覧になり、その技に大変感心されたご様子でした。

そして、ウランバートル郊外の競馬会場へ。

双眼鏡を手に5歳馬の30キロレースをご覧になりました。

この後、大草原で乗馬を楽しまれた皇太子さま。

最後に大統領から、オスの5歳馬を贈られ、大変うれしそうなご様子でした。
モンゴル帝国の旧都・ハラホリン ご訪問
7月13日、皇太子さまは、ウランバートルから350キロ南西のハラホリンを訪問されました。

ハラホリンは「カラコルム」の名で知られる、かつてのモンゴル帝国の都があったところです。

この地域には、16世紀に建てられたチベット仏教の寺院などが数多く残り、世界遺産に登録されています。

「寺院に現在でも多くの修行僧が生活しています」などという説明を熱心に聞いていらっしゃいました
横綱・朝青龍の両親が所有する移動式住居「ゲル」をご見学
翌14日には、ハラホリン郊外の草原に建つ「ゲル」と呼ばれる遊牧民の移動式住居をご見学。横綱・朝青龍の両親のゲルを訪問されました。

皇太子さまは、馬の乳で作られたモンゴルのお酒でもてなしを受けられました。

皇太子さまが「娘の愛子が、朝青龍のファンで『ダグワドルジ』と本名で呼んでいます」と話されると父親のドルゴルスレンさんは、「いつか愛子さまもモンゴルを訪問してほしい」と答えていました。

この後、荒馬馴らしの様子や縄のついたサオで馬を捕かくする実演をご覧になり、「すごいですね」と何度もカメラに収めていらっしゃいました。

この日の午後は、ハラホリンから80キロ北のウギー湖へ。この湖は周辺の沼地と共に野鳥の宝庫として、ラムサール条約にも登録されています。

皇太子さまは、美しい景観を眺めながら、ひとときの散策を楽しまれました。

皇太子さまは7月16日、ウランバートルのモンゴル日本センターで開かれた設立5周年記念式典に出席されました

《皇太子さま おことば》
本センターの機能が一層強化され、モンゴルの社会・経済発展にとって欠かすことのできない存在となることを希望いたします。

この日の午後には、オペラ・バレエ劇場で催された「歓迎コンサート」をご鑑賞。
歓迎コンサートで国立馬頭琴交響楽団とビオラで共演
モンゴルの民族楽器・馬頭琴の勇壮で華麗な音色を楽しまれた皇太子さま。

コンサートの後半では、ステージにあがり、国立馬頭琴交響楽団とビオラで共演されました。

およそ400人の観衆から大きな拍手を受けられました。

7月17日、皇太子さまは全ての日程を終えられご帰国。

東宮御所で雅子さまと愛子さまの出迎えを受けられた皇太子さま、「私の訪問が日本とモンゴル両国の友好の絆を一層強固なものにする事に少しでも貢献できれば幸いです」と感想を述べられました。
(「皇室ご一家」第1434回 平成19年8月19日放送)