現在、小学1年生の約半数が学童保育を利用していると言われている。さらには、塾や運動教室、ピアノなど習い事をしている子どもたちも多い。
習い事も子どもたちがさまざまな興味を持つきっかけにつながるが、今の子どもは忙しすぎる。そう嘆くのが、民間学童保育を立ち上げた島根太郎さん。
放課後は貴重だからこそ、価値のある時間にしたいと東京・神奈川で民間学童保育施設を運営する東急キッズベースキャンプの代表を務め、学校や家庭で体験できない経験を提供している。
初めての著書『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(講談社+α新書)から、子どもたちの放課後から失われたものについて一部抜粋・再編集して紹介する。
失われている、かつての放課後
あなたは小学生の頃、どんな放課後を過ごしていましたか?生まれ育った年代、地域によって違いはあると思います。それでも今の小学生の子どもたちと比べると、のんびりした時間を過ごしていたのではないでしょうか。
キッズベースキャンプ(以下原則としてKBC)に通っている子どもたちと接していると、週5ペースで習い事をしている子、中学受験のために3~4年生から学習塾での勉強を始めている子など、放課後時間を分単位のスケジュールで過ごしているお子さんが少なくありません。

ひるがえって私の子ども時代はどうだったかというと、習い事や塾に通っている子はごくわずか。
放課後は近所のあちこちの公園や遊び場をぐるぐると回りながら、友達と過ごす毎日でした。1965(昭和40)年生まれの私の小学生時代は昭和40〜50年代。育ったのは東京の目黒区で、都会っ子です。
2023年の出生数は約73万人でしたが、1965年は2倍以上の約182万人。放課後の街には、公園や道路、空き地で、たくさんの子どもたちが日暮れまで遊んでいるざわめきと賑わいがありました。
なくなったのは「三間」
当時と今を比べて、子どもたちの放課後から何が失われたのか。教育の世界では語呂合わせ的に「三間(サンマ)」がなくなったと言われています。「時間と空間と仲間」です。