学童保育の可能性
「水は方円(ほうえん)の器(うつわ)に随(したが)う」という言葉があります。
8~9世紀の中国の詩人である白居易(はくきょい)の詩の一節で、その意味は「水は容器の形によって、どんな形にでも順応する」というもの。そこから転じて、人は交友関係や環境によって、善にも悪にも染まりやすいことの例えとして使われています。
この言葉のとおり、子どもたちの成長には出会う人と、日頃から接しているコミュニティが大きな影響を与えます。
学童保育は学校も学年も異なる子どもたちが集まり、交流しながら放課後時間を過ごす場所。学校はさまざまな機会や経験を通して、子どもたちの成長を促してくれますが、基本的には教科教育が中心となります。
学校よりも長い時間通うことになる学童は、学校と違う役割を担うことができるのです。

学校の宿題をしたり、習い事の教材を進めたり、読書をしたり、民間学童オリジナルのプログラムを受講したりと、何かを学ぶ時間も取れますし、友達や大人たちと一緒に活動することがコミュニケーション能力を伸ばす機会にもなります。
でも、私はそれ以上に学童での放課後時間において重要だと考えているのが、余白の時間です。誤解を招く表現かもしれませんが、子どもたちが安心してぼーっと過ごせる時間があること。そこに学童保育の可能性を感じています。