2025年4月から静岡県内の自治体で初めて週休3日制を導入した沼津市。背景にはワークライフバランスを重視し、人材を定着させたいという狙いがある。

自治体が選択的週休三日制を導入

まだ他の職員が誰もいない午前7時。

出勤してきたのは沼津市介護保険課の古川直哉さん。

ただ、この日が“特別”というわけではない。

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「電話もないし窓口に人が来ることがないので、基本は自分の仕事に集中できる」と話す古川さんは「この時間は貴重」と強調する。

沼津市では2025年度から静岡県内の自治体として初めて「選択的週休3日制」を導入した。

この制度を利用しているのが古川さんだ。

1日の勤務時間の違い
1日の勤務時間の違い

通常の勤務体系は1日の労働時間が7時間45分だが、この制度は1日あたりの勤務時間を2時間ほど延ばすことで平日にも休みを取ることができ、沼津市の頼重秀一 市長は導入の背景について「柔軟でより良い制度を導入することによって職員の働く環境が改善され、市民サービスが向上することを考えた」と話す。

職場の上司や同僚も「支障はない」と太鼓判

社会福祉士の資格を持ちケアマネジャーから寄せられたプランの点検や助言を行う古川さんが週休3日制を利用するようになって2カ月あまり。

同じ課で働く職員は「事前に休みの日を伝えてくれるし、(古川さんが)休みの日に(市民が)来庁されるとか、問い合わせがありそうな時にはその旨も伝えてくれるので情報の連携は上手くできている」と業務上の支障はないと断言する。

また、沼津市介護保険課給付係の大島順子 係長も「職員としてのモデルというかこういった(週休3日)勤務をすることで、より張り合いをもって仕事をしている。(周りの職員も)それを見習って自分も頑張ろうと働いていると思うので良い面が沢山ある」と週休3日制のメリットを挙げる。

休日も充実…趣味と仕事の両立へ

そんな古川さんの平日休みの使い方は、体力づくりのために40歳から始めた趣味の登山だ。

この日も山梨県の山を訪れた。

景色を説明する古川さん
景色を説明する古川さん

約2時間かけて目的地に着くと素晴らしい眺望を満喫。

こうして平日休みを使って気分をリフレッシュすることで仕事にも身が入るという。

ワークライフバランスに配慮し人材確保と定着へ

「2~3年前にテレビで他県の民間企業が週休3日を導入するというのを見て良いなと思っていた」と話す古川さん。

だが、よもや自分の職場で導入されることは夢にも思っておらず「ありがとうございますという気持ちでいっぱい。趣味と仕事を上手く両立できることがベストだと思っている」と制度の導入に感謝する。

頼重市長は「育児・介護・趣味・余暇の時間をしっかりと確保することが大事だと思っている。自治体も人材確保が厳しい時代になっている、一度就職しても残念ながら退職してしまう人も居るので持続可能な街作りを進めるうえでも職員がしっかりと定着するということが大事で、そういったことを念頭におきながらやっている」と週休3日制を人材の確保・定着につなげたい考えだ。

沼津市役所
沼津市役所

県内の自治体としては初めて週休3日制を取り入れた沼津市。

新たな働き方の選択肢として、今後、市役所の中で、さらには他の市や町でも広がっていくのか、その行方が注目されている。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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