「手先とか足先の動きをいかに繊細に見せるか、ここにもすごく技術が必要」——そう語るのは、霧島市に本社を置くトヨタ車体研究所の平山正志常務だ。同社が開発中のロボットは、鹿児島県民にはおなじみの「おはら節」を踊る。その動きの習得が、県内の1次産業が抱える深刻な人手不足の解消にもつながるという。
おはら節を踊る二足歩行ロボット
両手を挙げ、しなやかに体を動かすロボットが、会議室に集まった関係者の視線をくぎ付けにした。披露されたのは、県や県内企業・団体・銀行などが連携し、デジタル人材の育成や生産性の向上を目指す「かごしま地域DX推進ラボ会議」の場だ。

二足歩行するそのロボットは、トヨタ車体研究所が中国製のロボットを購入し、動きを分析したデータをもとに、おはら節の振り付けを取り入れたものだ。デジタル技術を活用して鹿児島の地域活性化につなげようという取り組みの一環として披露された。

なぜ「おはら節」なのか
ロボットにおはら節を踊らせることには、単なるパフォーマンス以上の意味がある。
平山常務は、「その技術を学んでいくことが1次産業での手先足先の繊細な動きにつながっていく。こだわりながらやっている」と語る。伝統的な踊りに含まれる手先・足先の細やかな動きを習得させるプロセスが、農業など1次産業の現場で求められる繊細な作業動作の開発に直結しているのだ。

担い手不足が深刻化する鹿児島の1次産業において、こうした技術の積み上げは将来的な解決策の一つとなりうる。
7月の夏祭り、そしておはら祭へ
ロボットは現在も動きに磨きをかけており、7月に開催される霧島国分夏祭りでのおはら節披露を目指している。さらに、鹿児島を代表する祭りである「おはら祭」への参加も視野に入れているという。

平山常務は地域との連携についても意欲を示す。「鹿児島の中でいろんな能力を持った方がいる。そういった方に参画してもらいたい」。地域の人材を巻き込みながら、技術開発を進めていく姿勢だ。

デジタル技術と地域文化が交差する、鹿児島ならではの取り組みが、産業の未来を切り開こうとしている。
【動画で見る▶人型ロボットが「おはら節」を踊る 鹿児島DX推進ラボ会議で初披露 農業の人手不足解消にも期待】
