どこにでしょう?脂肪にです。いえ、正確にいうと、水分を蓄えるために脂肪を合成し始めたのです。体についた脂肪は、全体の30パーセントが水です。脂肪は水の貯蔵庫でもあるのです。

砂漠にすむラクダはバソプレシンの値が高く、背中のコブに脂肪と一緒に水を蓄えています。これにより、一滴も水を飲まなくても砂漠を越えて旅をすることができます。

また、肥満している人も、バソプレシンの値が高いことが知られています。脱水状態になるとバソプレシンが分泌されるということは、水分を十分に摂取していれば、バソプレシンは出てこないことになります。

実際に、マウスを2つのグループに分けて、一方にだけ水を十分に飲ませたところ、このグループのマウスには脂肪がつきませんでした。なるほど、ファッションモデルが美容のために、水を毎日たくさん飲むというのは理にかなっているといえそうです。

『これをやめれば瘦せられる』(東洋経済新報社)
奥田昌子
奥田昌子

京都大学大学院医学研究科修了。京都大学博士(医学)。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関でのべ30万人以上の診察/診療にあたる。海外医学文献と医学書の翻訳もおこなってきた。航空会社産業医を兼務し、ストレス対応を含む総合診療を続けている。著書に『これをやめれば痩せられる』(東洋経済新報社)、『欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)、『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)など。