7月に控える参議院選挙を前に、6月10日、再び浮上した現金給付案。
自民党が1人当たり数万円の現金給付を選挙公約に盛り込む方針であることが明らかになった。
自民党の坂本哲志国対委員長は「税収が上振れした中で、国民の皆さまにそれを還元しないというのは、おかしいのではないかということで、国民の皆さまたちに還元しましょうと。参議院選挙に向けての公約ということでいいと思います」と発言。
まさに「選挙目当ての政策なのか」、「所得が高い人にもばらまくのか」、野党が消費税減税で動く中、その対抗策なのだろうか。

■橋下徹氏「バラマキでしか選挙乗り切れない国会議員の情けなさ」と痛烈批判
自民党の主張としては、「1人当たり現金を数万円」ということで、所得制限をなしにするのか、高所得者に辞退を促すのかを検討しているということだ。
一方の公明党は、「マイナンバーカードを取得した人を対象に、マイナポイントを付与する」という提案です。金額いくら分のポイントにするのか、そして給付方法は調整中だということだ。
(Q.一度消えた現金給付案になったのはなぜ?)
橋下徹さん:結局こういうバラマキでしか、もう選挙乗り切れないっていうね。今の国会議員の情けなさが本当に浮き出てしまってるというか、本当は選挙は、国論を二分するぐらい、むしろ多くの国民が反対するような改革案を、『申し訳ないけれども、これやらせてほしい』と選挙で訴えて、選挙の後押しを受けて改革を進めていくのが、本来の選挙の使い方ですよ。
あとお金配るとか、減税とか、必要な部分は必要だけど、こんなことしか国会議員って選挙前に訴えられないのかと。手前味噌だけど、僕は選挙の時には府民が大体6割か7割ぐらいが反対するようなやつをどんどん出して、『もう嫌だったら、最後、僕のくび切ってくれ』と。で、当選したからガンガン改革やったわけですよ。何一つ改革案出てこないじゃないですか。今の国会からは。

■自民党の主張に一貫性なし、橋下氏「何やりたいのか」と厳しく問う
(Q.反対が多い意見だと当選できないと思うのですが?)
橋下徹さん:だから政治家の熱量と、あと『本当にこれが必要だから、皆さん今これ反対してるかも分からないし、皆さんに負担をかけるかも分からないけども、その代わり自分の給料も切って、自分らのお金の使い方もとことんまで切りつめて、それで選挙で応援してね』というのは、本来の選挙の姿だと思うんですよ。
(Q.そういう覚悟がない?)
橋下徹さん:(今の与党には)全然ないでしょう。こんな話ばっかりですもん。結局、政治とカネの問題って、うやむやになってるんですよ。政治団体献金の禁止の話ってうやむやになって結局、決着ついてないんですよ。なんでそういう所をやらないのか。これも選挙前に出してきてますけど、そもそもですけど、消費税の減税案に対しては『財源ない』って言ってたんですよ。『税収分の上振れ分なんて使っちゃいけない』と散々、自民党言ってたのに。
青木源太キャスター:年収百何万円の壁みたいな話の時も、『財源がない、財源がない』って言って、上振れの話は一切しなかったんですよね。
橋下徹さん:『上振れを簡単に使ってはいけない』って言ってたのに、選挙前になったら上振れを使っているじゃないですか。消費税の減税の話の時に、僕は食料品だけ減税するべきだと思うんですけど、石破さんは、『高額所得者もそれで得をする。高額所得者にそんな利益を渡しちゃいけない』と言って。…見てください。所得制限なし?高額所得者にばらまくんですよ。これ何やりたいんですかね自民党は。

■食料品消費税ゼロなら「年間6万3000円の恩恵」、財源は5兆円
現金給付をすると、消費税減税よりも財源がかかるというデータがある。
4人家族で試算すると…。
現金給付を1人5万円だと、恩恵は1回きりですが20万円。財源は6兆円。
食料品の消費税を0%にする場合、年間およそ6万3000円の恩恵。財源は5兆円で、食料品の消費税を5%にする場合は、恩恵は年間およそ2万4000円、財源はおよそ2兆円ぐらいかといわれている。
青木源太キャスター:これを見ると、都合の良い時は『財源がない』って言って、ばらまく時には、『上振れあります』と言っている。
(Q.減税にしたくない理由は?)
橋下徹さん: 1回減税やると、消費税はもう二度と上がらないだろうって言うんだけど、それ政治家が情けない話じゃないですか、上げたらいいんですよ。必要な時には。今は景気が本当に大変だとか、物価高対策だから消費税を下げて、物価高が落ち着いたらまた消費税上げればいいわけで。なんでそういうことやらないのか。

■物価高対策ならターゲットは食料品とエネルギー 「給付額が過剰」と橋下氏
連立を組む公明党は「マイナポイントを使って検討する」と発言している。
公明党の4月の段階の公約では、「(公約第1弾発表時)軽減税率を5%に引き下げも選択肢」としていた。それが2カ月たった、6月6日の公約第2弾発表では「軽減税率のあり方を検討」と後退している。結果的に出てきたのは「マイナポイント」ということだ。
公明党が先週発表したポスターには「やると言ったら、やり切る」と書いてあるが…。
(Q.マイナポイントを利用する給付に関しては?)
橋下徹さん:1つの案です。マイナポイントになると必ず使わなきゃいけないので、貯蓄には回りにくいと。現金を配ると過去の例で行くと、みんな貯蓄に回してしまうのでね。この政策って、何の政策なのかがよく分かんなくなってきて。というのは、20万円って何で今配る必要があるんですか。
もともとは物価高対策で、物価が今高くて困ってるのは食料品とエネルギーなんですよ。エネルギーは補助金が入って抑え込んでます。だから僕は、あとは食料品の軽減税率8%で確実に販売価格が8%下がるからと思ってたんですが、20万円は物価高対策だったらやりすぎ。多すぎる。家計消費額から考えると、物価高の部分は20万円もいかないですよ。
20万円って何これ。景気対策なのかと。景気対策ってことになると、物価高の時に景気対策なんてやりません。もっと物価が上がってしまうから。一体何のことなのか。これだけ言いたいのは、民主主義の成熟度の低い国は、みんな選挙前になるとバラマキやります。これはどこの国とは言いませんが、諸外国見てちょっと民主主義のレベルがまだ達してないなという国は、もう選挙になったらバラマキ、バラマキなんですよ。日本ってそうなってきたのかなと思って。

■「情けない選挙」橋下氏 野党の消費税減税案に対抗する自民党戦略を批判
青木源太キャスター:4月、5月に現金給付の案が出た時に、そんなに世論の支持を得られなくて、『ちょっと成熟して来たかな』というトークをした覚えがあるんですよ。
橋下徹さん:だけど、やっぱり背に腹は代えられないで、選挙近づいてくると、野党の方は消費税の減税言ってくるもんですから、もう自民党としては言うもんがないんで、この現金給付っていうことしか。しかし、これに情けない選挙だよね。
野党側の主張をまとめた。
立憲:食料品の消費税を原則1年間ゼロにする。さらに一律2万円を給付
維新:食料品の消費税を2年間ゼロ
国民:消費税全体を時限的に5%に下げる
れいわ:消費税自体を廃止
共産:消費税廃止を目指して5%に緊急減税
橋下徹さん:給付は本当に一番安易な政策ですよ。現金配るっていうのは。配るぐらいだったら、減税すればいいじゃないですか。初めから取らなきゃいいわけです。でもこの減税ということは、とにかく政治は嫌がるね。1回減税してしまうと、もう二度ととれなくなる。これは政治家の気合い不足。必要だったらとればいいわけで、今みんなが困ってるんだったら、それも軽減税率だったら全般的に消費税が5%下がると、高額商品買う人は得してしまうから、そうじゃなくて食料品に絞ってゼロにしたら、一斉に食料品の価格が8%下がるわけだから、気持ちも安心感につながるわけですよ。それぐらいのことやってよ、政治家!

■「現金給付は貯蓄に回す」と回答も 選挙への影響は「分からない」
街の人はどう思っているのか、「旬感LIVEとれたてっ!」名物、緊急100人アンケートを実施した。
現金給付か減税かどちらがいいか聞いてみた。結果は、「現金給付」が40人、「減税」が60人だった。

・「現金給付」派の意見
70代:年金暮らしだからうれしい。
40代:減税の方が手続きが面倒なイメージ。現金の方が手早いと思う。
70代:貯蓄に回す予定。選挙の投票に影響があるかは分からない。
・「減税」派の意見
20代:支出が増えているので、一時的に現金をもらうよりもいい。
60代:食料品は消費税率を0%にして、その他は15%にしてもいいと思う。
30代:減税の方が多いの人に恩恵がある。所得税も減税してほしい。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月11日放送)
