2024年、福岡・みやま市で小学1年生が給食で出たウズラの卵を喉に詰まらせて死亡した事故で遺族が提訴した。幼い命を失った責任はどこにあるのか?

「給食に使用しないことが望ましい」

「7歳の息子がどれほど苦しかったかと思うと早く自分が助けてあげたかったです。とにかく息子を返してくれと。生きたまま返してくれと。それだけです」と苦しい胸中を絞り出すような声で明かしたのは2024年2月、愛する我が子を失った男性だ。

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当時、小学1年だった男性の息子は、通っていたみやま市の小学校で、給食のおでんに入っていたウズラの卵を喉に詰まらせ、搬送先の病院で亡くなった。

内閣府が、2016年に策定した事故防止ガイドラインでは、ウズラの卵のほかプチトマトやブドウなどは喉に詰まる恐れがあるため「給食に使用しないことが望ましい食材」とされていた。

2024年12月、事故後、調査を行っていた第三者委員会は事故が起きた原因は「特定できなかった」とみやま市に報告。一方、再発防止策として喉に詰まりやすい食品を提供する場合には、給食の度に教員が注意喚起を行うことなどを提言した。

みやま市も、再発防止策をとりまとめることにしているが、いまだに公表には至っていない。

痛ましい事故から1年3カ月

6月6日に開かれた記者会見で死亡した児童の父親は「充分、納得できる説明も受けていない。ちゃんとした謝罪も受けていない。だから裁判に踏み込むことにしました」と提訴の理由を語った。

児童の父親は「担任の教師に対して、ウズラの卵の危険性や喉を詰まらせないよう注意するという指導を校長が怠った」などと主張。みやま市に対し、6000万円の損害賠償を求めて裁判を起こしたのだ。

「負けん気が強くて、学校に行くのが大好きで、友だちを大事にする息子でした」と最愛の息子を語る父親。そして「全てにおいて納得ができない。とにかく息子を返してくれと。それだけです」とやりきれない思いを口にした。

みやま市は「訴状が届き次第、内容を確認の上、適切に対応してまいります」とコメントしている。

(テレビ西日本)

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