東北一の繁華街・仙台市の国分町などで、市が委託した警備会社による客引き(キャッチ)撲滅に向けた巡回業務が始まって1カ月が経過した。市が「一定の効果が出ている」とする一方で、現場からはより厳しい取り締まりを求める声もあがっている。悪質な客引き行為を巡る実情を、現役のキャッチが明かした。安心できるまちづくりに向けた取り組みと課題とは。

半年間で30店舗が閉店 横行する客引き行為

仙台市の実態調査によると、客引き禁止区域での1日あたりの客引き延べ人数は、2025年平均で727人に上り、コロナ禍以降増加傾向にある。
国分町で長年スナックを営む、県社交飲食業生活衛生同業組合の高橋隆幸理事長は、その深刻な影響を語る。

県社交飲食業生活衛生同業組合 高橋隆幸理事長
県社交飲食業生活衛生同業組合 高橋隆幸理事長
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県社交飲食業生活衛生同業組合 高橋隆幸理事長:
「あの店は今いっぱいだから入れませんよ、他の店行きませんか」とか、お客様を止めてしまうということがたくさんある。

客引きによる客の横取りや、国分町全体のイメージダウンによる経営不振が相次ぎ、2026年に入って閉業した店は半年間で30店舗に上るという。

「ぼったくり店」に誘導 現役の客引きが明かす実情

さらに事態を悪化させているのが、悪質な店へと誘導する客引きの横行だ。宮城県警によれば、昨年1年間に寄せられた「ぼったくり被害」の相談は約140件に上り、被害総額は8000万円に達している。

その実情を明かしてくれたのは、仙台市内で10年以上客引きを続ける30代の男性だ。

仙台市で客引き(男性・30代):
コロナ禍以降、県外で稼げなくなったか、ぼったくり関係をやりすぎて目をつけられた人が仙台に流れてきた。

地元の客引きにとっても迷惑な話だが、すでに手遅れな状況だという。

仙台市では客引き行為に対する勧告と命令を無視した場合、地方自治法に基づき最大5万円の過料が科される。しかし、高い報酬を得ている悪質な客引きにとって、この罰則は抑止力になっていないのが実態だ。

仙台市で客引き(男性・30代):
ぼったくり店に入れていく人は、もはや1日で200〜300万稼ぐ。高額請求の会計額のパーセンテージが入る分、稼ぎも大きい。そういう人からすると、5万だけで逮捕もされないなら永遠にやると思います。

通常の客引きの稼ぎは「良くて月に50万円、悪ければ20万円」だという。ぼったくりに関わる客引きの報酬は桁違いだ。

2億4800万円を投じた「屈強な警備員」導入から1カ月

客引き撲滅に向け、仙台市は新宿・歌舞伎町や六本木などの繁華街で警備実績を持つ都内の警備会社に巡回業務を委託し、6月からパトロールを開始した。
委託費用は2年10カ月の期間で約2億4800万円。火曜日から土曜日の午後4時から午後11時まで、仙台駅前から国分町の繁華街を12人態勢で巡回する。格闘技経験者や元アスリートなど屈強なメンバーが、客引きを利用しないよう呼びかけ、行為者には口頭注意を行っている。

巡回開始から1カ月が経ち、仙台市の担当者はその効果を実感しているという。

仙台市市民生活課 上岡渉課長
仙台市市民生活課 上岡渉課長

仙台市市民生活課 上岡渉課長:
通行者からは客引きが減ったという声をいただいています。客引きをしているところに口頭指導を行い、阻止したという報告もあります。

しかし、仕事を終えた人々でにぎわう金曜日の午後8時半、路上には依然として客引きと思われる人の姿が多く見受けられた。

金曜の夜 警備の目があっても、国分町には客引きの姿が
金曜の夜 警備の目があっても、国分町には客引きの姿が

県社交飲食業生活衛生同業組合 高橋隆幸理事長:
正直、早い時間キャッチが少し減ったかなというところです。警備員がいる場所、いない場所というのは当然連携を取っているでしょう。

警備員の巡回範囲が仙台駅西口から国分町までと広いため、どうしても警備員がいない隙が生じてしまうのだ。

市もこうした巡回の”穴”を把握しており、上岡課長は「改めて実態を把握した上で、より効果的な手法を探っていきたい」と、月に一度の会議で改善策を協議していく方針を示している。

全国から仙台に客引きが流れ込み、犯罪の温床になっているとみて、宮城県警も取り締まりを強化している。昨年の摘発件数は過去5年で最多の44件に上り、今年は6月末時点で11件となっている。

仙台七夕まつりなど、多くの観光客を迎える仙台の繁華街。安心して楽しんでもらうためにも、そして県内全体の治安を守るためにも、現場の実態に即したさらなる対策の強化が急務となっている。

仙台放送
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