熊本市電や市電を運行する熊本市交通局の全てを立て直すプロジェクトがスタートし、6月『市電再生タスク・フォース』が設置された。熊本市交通局は原則市電の運賃収入などで経営する独立採算の『企業局』だが、新たに設置されたタスク・フォースには『市長事務部局』、つまり市役所本庁からの職員が5人投入されている。
脱線・信号無視・追突・レールの剥離
熊本市電は2024年に脱線や信号無視など16件の運行トラブル。そして2025年3月には市電同士の追突事故が起き、乗客など15人が重軽傷を負ったほか、6月にはレールの一部が剥がれ区間運休という、これまでになかったトラブルも発生している。

『市電再生タスク・フォース』に任命されたのは16人。うち5人が市長事務部局からの職員で、5月30日の会見で大西熊本市長は「市電101年の歴史の中で文化があると思う。風土というか。それは市長部局から見ると『それは違うんじゃないか』とか組織の中で〈当たり前〉と思っていた文化を変えていく。一つ一つの気づきを与えることになっていくと思う」と述べた。

タスク・フォースは状況を随時、大西市長へ報告する体制としていて市長も積極的に関与していく方針。
熊本市電や熊本市交通局の立て直しに
6月4日は熊本市交通局の経営会議でタスク・フォースのリーダー太江田真宏さんが「〈新しい交通局に生まれ変わるんだ〉という強い覚悟と使命感を持って、さまざまな課題に対してスピード感を持ちながらも、一つ一つ丁寧に対応していきたいと思っているので、皆さん、一緒に協力して、交通局の立て直しに向けて取り組んでいきましょう。よろしくお願いします」と、挨拶した。

太江田さんは『市電延伸室』の室長でもある。市電延伸は2024年9月に実施設計予算が議決され、太江田さんらは市民説明会を開くなどし、2025年度は測量などを予定していた。しかし、市電の運行トラブルは止まらず、大西熊本市長が「安全対策を優先する」として延伸の延期を決断。市電延伸事業は事実上ストップしていた。

新たに発足した『市電再生タスク・フォース』は運転士の処遇改善など『人事』や『組織体制』の改善策。そしてレールや電気設備、車両への安全対策にかかる費用の算出など『施設整備』や『経営』についても情報収集や分析を行う。

太江田さんは「熊本市だけでなく、熊本都市圏の基幹交通として重要な役割を担っている市電ですので、一日も早く皆さんが安心して使えるような環境を構築していければと思っています」と話した。『市電再生タスク・フォース』は年内をめどに解決策をまとめる。
(テレビ熊本)