6月3日、投票が行われた韓国大統領選で勝利したのは、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏でした。李氏は過去の発言から「反日的」ともみられる人物でしたが、選挙期間中は「日本は重要なパートナー」などと発言していました。日韓関係はどうなるのだろうか。
関西テレビ「newsランナー」に出演した橋下徹さんは、「李在明氏のようなスタイルは国内で受ける。日本でも保守派は中国・韓国に強硬」と指摘し、「親日・反日にこだわらなくていい。歴史問題以外でしっかりタッグを組む」と提案した。
またジャーナリストの安藤優子さんは、「歴史問題を新大統領がどう使っていくのか。若者はお互いの国について良好な認識を持っているので、歴史問題を切り離して」と述べた。

■李在明新大統領は「反日」?過去の言動は…
日韓関係を非常に重視していた、前の大統領・尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が、国民の自由の制限にもつながる「非常戒厳」を宣言し、大統領を罷免されたことにより実施された今回の選挙。李在明新大統領は、過去に「反日的」ともみられるような発言があった。
李在明氏(2016年):日本は『敵性国家』。
李在明氏(2021年):歴史問題で、心から日本が反省しているようには見えない。
一方、選挙戦では、「日本は重要なパートナー。堅固な日韓関係の土台を築く」と親日的な発言をしている。
韓国政治に詳しい龍谷大学の李相哲教授に聞いた。
龍谷大学 李相哲教授:李在明さんは自分が常識的とアピールして、無党派層や中間層を取り込む目的だったのではないか。尹大統領時代の日韓の約束を踏襲するかは不透明。日韓関係は停滞または後退するのではないか。

■ジャーナリスト安藤優子さん「歴史問題を切り離して」過去には「対日カード」「国内の状況を見ながら利用」と指摘
李新大統領の今後について、ジャーナリストの安藤優子さんは歴史問題を「対日カード」と指摘し、「韓国側は国内状況を見ながら日本との歴史問題を利用して、注意をそらしてきた」と懸念を示した。
ジャーナリスト 安藤優子さん:私は2つ言いたいことがあるんですけども、『対日カード』っていうんですかね、日本の歴史問題を持ち出して。日本との間にある、韓国が非常に問題視してるのは、『竹島の問題』に『徴用工の問題』、それから『慰安婦の問題』に集約されてくると思うんですけれども、そういう歴史認識に関してのお互いの齟齬みたいなところがずっと種火のように、小さなちょろちょろ燃える火のようにある。
ジャーナリスト 安藤優子さん:それを必要に応じてというとちょっと言葉悪いですけれども、内政を見ながら、韓国の国内状況を見ながら、そこに『薪をくべて』、注意をそらすっていうのをやってきたような気がするわけですよね。だから歴史問題を今後どういうふうにこの李新大統領が使っていくのかっていうところ。

また安藤さんによると、「最近、シンクタンクが日本と韓国と同時にやった調査で、若者たちは日本に対して、非常に良好な認識を持っている」という結果があるといい、今後の日韓関係は「新大統領が歴史問題を切り離していくか」だと指摘した。
ジャーナリスト 安藤優子さん:もう1つは、最近の日本と韓国と同時にシンクタンクがやった調査によると、若者たちは日本に対して非常に良好な認識を持っている。
ジャーナリスト 安藤優子さん:けれども、そういうふうに答えてる人たちが、ひとたび歴史問題の方の話の問いになると、『いや、それはちょっとまた別の話なんだけど』って答えているんだから、まさにこの2トラックなんですよ。
ジャーナリスト 安藤優子さん:歴史問題と、こちらの安全保障とか経済とか文化交流とかも切り離してやっていくっていうのが、この李新大統領のこれからなんじゃないかなというふうに私は思います。

■橋下さん「李氏のようなスタイル国内で受ける」「日本でも保守派は中国・韓国に強硬」「歴史問題以外でタッグを組む」
一方、橋下徹さんは、李氏の「反日的」な姿勢は「国内で受けるもの」と指摘し、今後は「親日・反日にこだわらず、歴史問題以外の経済や若者の交流はしっかりやっていく」と提案した。
橋下徹さん:親日とか反日っていうのにこだわらなくていいと思いますよ。李在明さんのような、こういうスタイルこれはどこの国でも、国内で受けるんですよ。
橋下徹さん:李在明さんのことは僕らから見れば、僕は李在明さんの考え方とはもう全然違うし、日韓関係も『もうちょっとうまくやってよ』と思うんですが、いやいやだって、日本で人気の高市早苗さんとか、それこそ小林鷹之さん、いわゆる保守派とか、中国とか韓国に対して強硬な主張しますよ。
橋下徹さん:韓国から見れば、高市さんとか、小林鷹之さんって李在明さんみたいな感じですよ。だから国内の支持を得ようと思ったら、『こういうスタイルは、やらなきゃいけないんだな』ぐらいのことで僕らは思っておいて。

橋下徹さん:ただ、この歴史問題とかそういうところは我々も言いたいことはちゃんと言う。僕の世代で、子供の頃の教育を考えると、『慰安婦問題』とか『徴用工の問題』は、『何も言うな』と。『日本は謝っておけばいい』とかね。日韓併合についても、『あれは日本が悪かったと謝っておけばいい』みたいな教育を受けてきたけど、やっぱり言うべきことは言う。
橋下徹さん:あれは合法だったんだとか、もう徴用工でも『もう責任は果たしたんだ』とか言いたいことは言う。ここで見解がぶつかったとしても、他の経済とか安全保障とか、いろいろな若者の交流のところは別として、そこはしっかりやっていく。
橋下徹さん:今までやっぱり歴史問題でなんか日本はフタをしていたところに、ちょっと不満が溜まってたところがあるんじゃないですか。お互いにぶつけ合ったらいいじゃないですか。
橋下徹さん:その他のところはしっかりタッグを組むというような形で、反日・親日ということにあまり気にすることはないと思います。どこの政治家もこんなもんです。
(関西テレビ「newsランナー」2025年6月4日放送)
