6月3日に投票が行われた韓国の大統領選挙。
当選したのは最大野党「共に民主党」の李在明氏です。驚くべきは「投票率79.4パーセント」で、前回の大統領選をも上回る28年ぶりの高さとなった。
就任式では、「内乱で崩れ、失われたものを回復し、持続的に成長・発展する社会を作ります」と発言している。

4日、関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した橋下徹氏は、李在明大統領と自分とは考え方は違うとしながらも、「芯のある政治家だと思う。志やエネルギーはすごい。日本の政治家で李在明さんにまともに対峙できるような人いるのかな」と話した。

■「男女の対立がすごいことになっていて今回の投票行動にも現れた」
また番組コメンテーターで社会学者の古市憲寿さんは、韓国内で男女の対立が激しくなっていることが今回の投票行動に現れたと指摘した。
古市憲寿氏:若い世代でも分断があって、男性、女性で投票行動が結構違ったんですね。女性が今回の民主党などに投票した人が多いんですけど、男性は保守系が多いんですよ。
古市憲寿氏:韓国って特に若い世代で、男女の対立がすごいことになっていて、男性からしたら徴兵制もある、軍隊に行かなきゃいけないにも関わらず、女性ばっかりが優遇されているんじゃないかって意見が強くなっている。
古市憲寿氏:女性側は女性がずっと虐げられてきたと。もっと権利が必要なんだっていう意見があって、男女のいわゆるフェミニズムとかめぐる対立が深刻化していて、それが今回の投票行動にも現れたっていう。だから女性は民主党系、リベラル系、男性は圧倒的に保守系に出た人が多かったです。

■「強力な韓国の政治のグループが生まれる。日本はどう対峙していくか」
橋下徹氏は、大統領と議会が「共に民主党」で強力な政治の力があると指摘した上で、日韓関係に対しては不安感があると述べた。
橋下徹氏:僕は李在明さんと考え方は違うし、日韓関係においては非常に不安感抱いています。韓国の多くの皆さんが李在明さんを選んで、なんといっても今議会が、共に民主党の圧勝状態なんですよ。ということで、大統領と議会が共に民主党で、強力な政治の力がありますよ。
橋下徹氏:日本はいま少数与党になってふらふら状態だけども、強力な韓国の政治のグループが生まれるから、日本はどう対峙していくかってことです。
橋下徹氏:李在明さんと僕は考え方は違うけど、芯のある政治家だと思う。志やエネルギーはすごい。日本の政治家で李在明さんにまともに対峙できるような人いるのかな。適当にぽっと国会議員になった連中が絶対李在明さんに対峙できないと思うから。

■「すぐ『反日』とか言うのは違う」
李在明氏の過去の発言を整理する。
2023年、福島第一原発の処理水の海洋放出に関して、「日本の“核汚染水”は第二の太平洋戦争と記録されそうです」と日本に対して厳しい発言があった。
ただ最近はこういった発言がないようで、5月26日には、「日本は重要なパートナーで堅固な日韓関係の土台を築く」と自身のSNSに書いている。
橋下徹氏:すぐ『反日』とか言うじゃないですか。それ違うと思っていて、日本の政治家も中国、韓国に対してかなり強いことを言うわけですよ。だから向こうからすれば反中なのか反韓なのかと思うような政治家が日本では受けるわけですよ。政治家って対外的には強気なことを言う存在。
橋下徹氏:しかも李在明さんは、朝鮮民族を第一で考えるような、石原慎太郎さんの自国ファーストとか、トランプさんの朝鮮バージョンみたいな感じだから、そういうことを踏まえた上でボロクソに人格否定するんじゃなくて、『お互いに国のことを考えている政治家だな、気概はあるな』と思ったりね。
橋下徹氏:あとは考え方のところで、議論したらいいと思う。日本の政治家ってよく『反日だ!』とか言って、腐すじゃん。それやめたほうがいい。日本の政治家だって国内の支持率のために、靖国参拝するとかね。参拝に行くのはいいんだけど、日本も同じことやるからね。

■「歴史認識はお互いに意見ぶつける。でも経済とか交流の話は別でやっていく」
古市憲寿氏:韓国はどんどん文化輸出国になっていて、特に日本に対しては、K‐POPがすごく人気なわけですし、韓国産の映画は今すごい勢いで海外に輸出されている。そういう中で、韓国が自ら文化を輸出してるのに、わざわざ反日っていうメリットが経済的にないわけですよね。だから昔と比べたら韓国内で反日を掲げるような合理性は減ってきてるんじゃないかなと思うんですよ。
橋下徹氏:5月に駐日の韓国大使の方といろいろ意見交換をさせてもらったんですよ。その時に歴史認識はお互いに意見ぶつけ合いましょうと。だけど歴史認識の話以外のところ、経済とか交流とか、ここはしっかりやっていきましょうと。
橋下徹氏:昔日本が良くなかったのは韓国に対しても中国に関しても、何も言うなと。もう仲良くしようということだから、もう一切日本の立場とか、日本の主張は言うなって押さえつけられてきたような教育があったじゃないですか。
橋下徹氏:そうじゃなくてお互いに言い合おうと。慰安婦問題にしたって竹島の問題だって言うと。でもその話と、経済とか交流の話は別でやっていきましょうねって駐日韓国大使の方も言われていて、僕も大賛成。
橋下徹氏:歴史認識で食い違うと、人格否定をやったりとかね。だって『安重根(伊藤博文を暗殺した独立運動家)』なんか、日本だったらテロリストだけど、韓国だったら正義のヒーローだから。これは変えようがないから、そこはそこでもぶつかり合いながらでも、交流をしっかりやってればいいと思うね。
古市憲寿氏:戦後80年で、戦争の記憶が失われていくけど、逆にそれも希望だと思っていて、歴史問題は忘れちゃいけないんですけど、知らないからこそ本気でリアリティを持って怒っている人がだんだん減っていくと、自然と両国、日中韓が平和になっていくと思うんですよ。

■どうなる日韓関係 「韓国は隣国で重要なパートナー。反日だとかで腐すのやめて」
政治ジャーナリスト青山和弘氏の独自取材によると、「(石破総理いわく)自分は自民党の中でもリベラル。左派の李在明氏とは気が合うと思う」と話しているという。
そして、李在明氏がどう思っているかだが、コリアレポートの辺真一氏によると、「日本ともアメリカとも仲良くしたいけれども、中国とも仲良くしたい。台湾問題には触れたくないので、日韓関係に亀裂が入る?」と話しているということだ。
古市憲寿氏:石破さんってリベラルって言いながら芯のないリベラルじゃないですか。選択的夫婦別姓とかも、総理になる前に言っていたのに、総理になったらコロコロ変わっていたりとか。芯がないと思われたら、向こうも真面目に取り合ってくれないんじゃないかなと思っちゃうんです。

橋下徹氏:政治って政権基盤はものすごく重要だから、石破さん、それが強くないからね。あっち行ったりこっち行ったりとせざるを得ない。だからそういう意味で李在明さんは、議会も大統領も共に民主党で一致団結してるから手強いですよ。
橋下徹氏:歴史認識はぶつかったらいいけど、経済にしても価値観にしても、韓国は隣国で重要なパートナーですから、反日だとかどうのこうので腐すようなことはやめてほしいです。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月4日放送)