ことし3月、一斉に休業した大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」。
全従業員への未払い給料は依然、支払われていない一方で、一部の顧客へのサービスが再開されていた。

■15億円の未払い給与 待ち続ける2300人 “約束の給料日”虚しく
5月30日。ミュゼの元従業員が向かったのは銀行。この日、未払いとなっていた給料が振り込まれるハズだったのだが…。
ミュゼで約9年勤務 Aさん:結局(給料が)入ってなかったです。ほとんど期待はしてなかったけど、入っていればうれしいなという気持ちはあった。本当に腹立たしい気持ち」
ことし3月に全店で休業し、全従業員に会社都合の退職『退職勧奨』を告げたミュゼプラチナムの運営会社。
2300人あまりに対し、およそ15億円の給料が支払われていない。
国に未払いの給料を立て替えてもらうため、元従業員など10人が、5月、東京地方裁判所に対し、運営会社の破産手続きを始めるよう申し立てている。

■予約殺到のフランチャイズ展開 未払い給与は宙に浮いたまま
その一方で、運営会社が別の会社を作り、新たに立ち上げたのが「どこでもミュゼ」。
これまでの直営店を再開させるのではなく、全国各地で営業している個人経営のサロンとフランチャイズ契約を結び、ミュゼプラチナムの顧客への施術を委託するという仕組みだ。
5月26日時点で、全国で144店舗が加盟。加盟店はさらに増えていて、順次オープンしていく予定だということだ。

「どこでもミュゼ」の看板を掲げる大阪市内の美容サロンでは…。
(Q.どういう経緯で?)
FC店のオーナー:(美容サロンの)コミュニティーで『どこでもミュゼ』の話があって、受け入れてくれないかという話がきた。お客さんが困っている。(ミュゼの)回数が残っているなら、施術を受けてもいいかな。
ミュゼプラチナムからは、施術時間に応じた代金がサロンに支払われるそうだ。
(Q.予約は?)
FC店のオーナー:多すぎてパンパン。1台しか稼働してないので、ベッド数が足りない。1日に(予約が)どれだけ入るかが決まってるので。
どこでもミュゼに加盟してから、予約が殺到。6月末まで予約は埋まり、さらに予約をさばくため、新店舗をオープンするという。
FC店のオーナー:予約が多すぎて、予約を取るのが、自分の店だけだと難しくなりすぎて、ここ(新店舗)借りてミュゼさん専用にしようかな。
元従業員によると、この「どこでもミュゼ」で、ミュゼプラチナム側が負担するのは、通い放題コースの人でも契約の時に最低保証している最大8回までと限定的とのこと。

■15億円→1億円 “削減効果”の陰で置き去りの従業員
ミュゼプラチナムの運営会社は、「フランチャイズ展開」を進めつつ、直営店についても、6月1日に営業を再開すると発表していたが、公式ホームページには、「全店舗の同時再開は困難」とある。
こうした事態に運営会社は、「フランチャイズ化」することで、テナント代や人件費などの固定費を大幅に圧縮でき、運営が継続できると主張している。
ミュゼプラチナム運営会社 高橋英樹社長:元々ミュゼプラチナムに関しては、15億円ほどの施術に対しての販管費という形で、毎月かかる費用がかかっておりましたが、今回のどこでもミュゼプラチナムのプロジェクトをすることで、販管費自体が1億円以下に抑えることが可能。
(販管費=「販売費」と「管理費」)
一方で、元従業員への未払い給料については…。
元従業員提供資料より:債権者による破産申立が行われている状況下においては、支払い期日に間に合わせることができませんでした。
給料未払いに、全店休業。ミュゼの混乱はまだ続く。
(関西テレビ「newsランナー」2025年6月4日放送)
