顔や頭がカサカサするけど「乾燥かな?」と放置してはいないだろうか。実は「脂漏性皮膚炎」のサインかもしれない。乳児から大人まで幅広い年齢層に見られる症状で、気温の上昇で皮脂の分泌が増える初夏は特に注意が必要だ。原因やセルフケアについて専門医に聞いた。

マラセチアというカビの一種が原因
脂漏性皮膚炎話について聞いたのは、福井大学医学部附属病院の加畑雄大医師。「脂漏性皮膚炎の症状としては、脂漏部位といわれる顔面や頭部、腋窩(わき)などに赤くてカサカサした皮膚の炎症が起きる」

顔や頭の皮脂が多い場所に発症し、赤みやフケ、かゆみを伴う脂漏性皮膚炎。原因は、皮膚に常在しているマラセチアというカビの一種だといわれている。
このマラセチアが皮脂を分解するときにできる「脂肪酸」が皮膚を刺激し、炎症を引き起こすのだ。
発症しやすい人は「乳幼児と40代~50代の男性。生まれたばかりの赤ちゃんでも生じることはあるが、その場合は自然に改善する」という。

乳児型は自然治癒もするが…
脂漏性皮膚炎は乳児型と成人型に分けられ、乳児型は頭や顔に黄色や赤いガサガサした症状が見られるのが特徴ですが、自然とよくなることがほとんどです。

一方の成人型は、額から鼻にかけてのTゾーンに赤くカサカサした症状が出たり、頭皮にかゆみを伴うフケが出たりする。

夏前の気温が上がり始める時期は要注意
まだ夏本番じゃないし、汗もかかないからといって油断してはならない。
加畑医師は「夏前の気温が上昇している時期は、皮脂の分泌が増え始める。花粉や黄砂も皮膚の炎症を悪化させる要因になるので注意が必要」とする。夏は皮脂が汗で洗い流されるが、気温が上がり始める初夏の方が皮脂などが蓄積して症状が出やすいというのだ。

洗浄&保湿で予防を
加畑医師に聞いた予防法は以下の通り。
【1.皮脂の分泌が多い人は1日2回、洗顔料を使って洗顔をする。】
擦りすぎると悪化するため優しく洗い流し、その後保湿を行うことが大切。洗顔ができない場合は汗拭きシートなどをの使用も効果的。
【2.市販の薬用シャンプーを使う】
脂漏性皮膚炎の原因となる、カビに効果のある抗菌作用のあるものを選ぶと良い。
【3.規則正しい生活を送る】
暴飲暴食やアルコール、喫煙も皮脂の分泌を増加させるため控えた方が良い。

「薬を塗って治療することも大切だが、自分の皮膚から分泌されている皮脂が原因なのでしっかりとセルフケアを行うことが一番重要」と加畑医師。
乳幼児や40代~50代が発症しやすいというだけで、皮脂の多い少ないは個人差がある。皮膚の清潔が保たれていなかったり生活習慣が乱れたりすると、どんな人でも発症することがある。日々のセルフケアで皮膚の清潔を保とう。

加畑医師は、洗顔や保湿をしても赤みやかゆみが治まらない場合は、医療機関を受診するよう呼びかけている。