備蓄米を求めて各地で争奪戦が繰り広げられる中、スーパーのコメ価格は3週間ぶりに値下がりした。
農林水産省によると、5月19日から25日に全国のスーパーで販売されたコメの5キロ当たりの平均価格は、前の週より25円安い4260円だった。
3週ぶりの値下がりだが、去年の同じ時期の約2倍の価格で高値が続いている。
一方、小泉農水相は中小のスーパーや街のコメ店を対象にした随意契約による備蓄米の売り渡しについて、申請の受け付けが約1500件に上ったことを明らかにした。
農水省は町のコメ店向けに設けた、2万トンの枠が上限を超えている可能性があるとして、2日、申し込みの受付を一時休止した。

■“ケガの功名” 石破首相が語る小泉農水相の手腕
これまでの小泉農水相の「活躍」について、石破首相はどのようにみているのだろうか。
政治ジャーナリストの青山和弘さんが石破首相に直接取材をしたという。
青山和弘さん:石破さんに直接取材したんですけれど、こんなことを言っていました。“ケガの功名だ”ということなんです。つまり小泉さんが就任してまだ2週間たっていないのに飲食店に備蓄米が届く。これはやっぱり小泉さんにしか僕はできなかったと率直に評価していいと思うんです。
青山和弘さん:ただこれは別に石破さんが狙ってやったのではなく、江藤前大臣が変な失言をしたから、たまたま変えた。小泉さんを後任に選んだのは石破さんだが、たまたまこういうことが起こった。こうなると“ケガの功名”だし、石破さんは取材に対し『備蓄米ブームですね』と、ある意味ちょっと意気揚々としていた。それまでちょっと意気消沈していましたが、活力を増しているような感じでした。

■農政改革めぐり対立必至 本格衝突は今後か
こんな横やりもあった。
自民党の野村元農水相(81)が「お父さんに似て、どんどんマスコミに発表して事務方は困っている。ルールを覚えてもらわないといけない。森山先生から“チクり”とやっていただかないと、今後が心配だ。我々が言ったって言うことを聞かない」という発言があった。
これに対し、小泉農水相は1日、「今回は緊急事態。じっくり議論した上じゃないと動けないと言ったら、この結果は出せない。大臣の決めるべきことだと思うので、私はこれがルールだと思う」と反論している。
青木源太キャスター:農政改革をしようとすれば、こういう歪み、衝突が今後も考えられるわけですよね。
青山和弘さん:もう間違いなく衝突すると思います。野村元農水大臣は、元々JAの人なんですね。ですから今回の改革そのものを面白く思っていないんです。ただ、コメの値段を安くするのは、自民党が参議院選挙で勝つためには絶対必要なので、まだこれでも見守っている人が多いんですよ。
青山和弘さん:ただこれから本当に増産するとか、コメの値段が下がりすぎた時に農家に直接補償をするとか、そういうこれまでの減反政策を抜本的に変えるようなことになると、必ずぶつかるときが来るので、その時、小泉さんがどうなるのか、石破さんがフォローしきれるのかというのは、まだ見てみないとわからないですね。

■農水族の壁 コメ政策改革の課題
青山さんは「農水族の影響力が強く改革は困難だが、食糧安全保障のためコメの増産は必要。ただし価格調整が課題」と話す。
青山和弘さん:農水族は伝統がある、自民党の大きな支持母体ですから、なかなか改革するのは難しいですね。特にお米は特別な産品として、これまで大事にしてきた。しかし、これだけお米の値段が上がったり、あと何といっても食糧安全保障です。例えば、トウモロコシとか、大豆とか、小麦とかが輸入できなくなることだってあるかもしれない。その時、日本人が何で生きていくのかと言えば、お米なんですよ。こんなに備蓄米も少なくて、値段が上がったら、その時にどうやって日本人は生きていくのか。そのためにもやはり増産に舵を切らなきゃいけない。それを本気でやろうとした時に小泉さんが戦えるのかどうか見ていかないといけない。
青木源太キャスター:また抵抗勢力が出てくる可能性があるんですね。
青山和弘さん:コメの値段が下がりすぎた時の出口戦略が必要です。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月3日放送)
