2024年、長野市篠ノ井有旅地区に完成したワイナリーで、5月11日、初めて醸造したワインが地域住民に振る舞われました。立ち上げた男性は「有旅から世界へ」と意気込んでいます。


透き通った淡い色味。長野市で育てられたブドウを使って造られた白ワインです。長野市の山あい、篠ノ井有旅地区に2024年5月に完成した「有旅ワイナリー」で醸造されました。

栽培から醸造まですべて長野市内で行い、完成したワインは初めてとなります。

5月11日は、地元住民を招待して1日限定のプレオープン。

試飲会参加者:
「おいしい」

有旅ワイナリー・田中啓さん:
「こちらRYUGAN(リューガン)という(ワイン)。長野市の『善光寺ブドウ』という別名で、ちょっと日本酒っぽい感じが特徴的で、和食に合いやすいワイン」

参加者:
「おいしい、飲みやすい」

ワイナリーを立ち上げたのは田中啓さん(45)。地元・篠ノ井の出身です。

田中啓さん:
「ようやくここまで来られたなという感じで、地元の皆さまのご協力とブドウが無事に育ってくれたおかげ」

念願の「ワイナリー」オープン。田中さんの新たな挑戦が本格的に始動しました。


長野市篠ノ井で生まれた田中さん。県内の有名ホテルに勤務しながら独学でソムリエの資格を取りました。県内外で活動した後、10年ほど前、長野市に戻り、ブドウ農家に転身しました。

田中啓さん:
「子どもの頃は気づかなかったんですけど、本当に自然豊かで、改めて魅力のあるところだなと、1回出てみて分かりました」

田中さんは、地元で「妥協のないワインを造りたい」と思いを抱いたそうです。それから、ワイナリーの開設に向け各地の農場などで研修を重ねてきました。

そしてー。

田中さん(2024年):
「いつか地元の長野でワイナリーを開く夢を抱いていました」

2024年5月、長野市初のワイナリーが有旅地区に完成しました。

標高650メートル。北アルプスや市街地を一望できる絶景が広がります。南東向きの斜面は日当たりや風通しが良く、好条件が揃っています。

ワイナリーでは醸造から、ボトル詰め、販売までを一貫して行います。

小諸市から中野市まで千曲川沿いに広がる「千曲川ワインバレー」。世界市場も視野に入れた県産ワインの取り組みに長野市が新たに加わりました。

荻原市長も視察―。

長野市・荻原健司市長:
「地元でワイン用ブドウが生産され、地元でワインが造られることを通じて長野市、篠ノ井の地域活性につながると確信している」

ワイナリー竣工から約1年。ワイナリーで醸造された白ワイン3種類がお披露目されました。

住民:
「おはようございます」

プレオープンに招待された地域住民による試飲会です。

田中さん:
「全部ノンフィルターです、ろ過していないので。(ろ過すると)いい部分も落としちゃうので、よりワインのポテンシャルをそのまま残したい場合は、ろ過しない」


地域住民:
「(モンドブリエは)とても爽やかな味でブドウの味がすごく感じられて、後味さっぱり」

地域住民:
「地元のワインがやっぱりおいしかった。荒廃農地が多かったので、みんなブドウ畑にしてもらえれば、この景色のいいところで、最高だと思います」

地域住民:
「景色もごちそうなので、見て・来てもらって、こういう所があると知ってもらえればうれしいです」

記者がRYUGAN八十五をいただきました。

(記者リポート)
「フルーティな香りがします。すっきりとして軽やかな口当たりで、味はやや酸味があるんですけど、飲みやすくておいしいです」

ワイナリーの裏に広がるブドウ畑の案内も。

有旅ワイナリー・滝沢資大さん:
「これも試行錯誤で、幅も1mでやるのか、1.5mでやるのかで樹勢が変わってくるし、味にも影響を及ぼす」

約2ヘクタールの畑ではシャルドネやピノ・ノワールなどが育っています。

田中啓さん:
「栽培は基本的にブドウの生命力を信じて、除草剤も使ってませんし、農薬も極力減らして、より自然に近い形で育てたい」

地域住民:
「すごく期待している、信里地域も変わってきたなと、これから子どもたちがこういう所に興味を持って地元を盛り上げてくれれば」


人口減少や高齢化など課題を抱える中山間地の活性化も期待されるワイナリー。

2025年度、長野市産のブドウ8トンを使い、約6000本の販売を予定していて、5年後には、2倍以上を目指すとしています。

有旅ワイナリー・田中啓さん:
「有旅で育てられたブドウのポテンシャルを最大限に引き出したワインを造って、世界に羽ばたけるような、高品質なワインを造っていきたい」

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。