プロ野球の開幕から約2カ月。開幕当初から主力の離脱が相次ぎ、波に乗れない状態だった福岡ソフトバンクホークス。現在、少しずつ離脱者も戻り、チーム状態も上向きつつあるもののまだまだ“完全”にはほど遠い。就任2年目となる小久保裕紀監督(53)に話を聞いた。
“潮目”がかわったロッテ戦
主力が離脱し、辛抱と立て直しだった4月。小久保監督は「開幕3連敗しているシーズンですから…、あとはやっぱりこれだけ主力レギュラーがいなくなるって…」と振り返った。

それでも「強制的に若い選手が育つ場を提供されていると割り切った」とチーム体制を『プランB』に移行したという。その結果、起用した若手が活躍。見事に5月は勝ち越した。

5月2日、みずほPayPayドーム福岡で行われたホークス対千葉ロッテマリーンズ戦。2点を追う9回に3点を奪い、逆転サヨナラ勝ちを収めた。その試合が「潮目がかわった試合だった」と小久保監督は話す。

「(5連敗中で)なかなか勝てないですよね。それで、これはもう、ちょっと深みにはまるというか、そうなりそうだったんですね。それが、9回裏ツーアウト、ランナーなしから奇跡的な逆転サヨナラで…」

「振り返ってみれば『あの試合がきっかけになったね』って言えればいいなとその日は思ったんですけど。その後、勝ち越しが続いて、あそこまで(チーム状態が)戻ってくるとは正直、思ってなかったですね」

主力がいない間、頑張った若い選手を1人あげれば?「今宮(健太・33)が、いなくなった後ですね。野村勇(28)。これはコーチの提案でもありましたけれど、やっぱりあれだけ活躍するというのは、僕はちょっと予想以上だったんで」

「コーチの眼力ですよね。『使ったらいけると思います』と。で、使ったらいけた。だから、どこかで今宮がショートで戻ってきたら、どこで使おうかと考える選手の1人には入っています」
期待に答えてくれた投手陣
主力不在のなかでの野手陣の活躍に手応えを感じた小久保監督。さらに期待に応えたのが投手陣だったと話す。「どちらかというと打線はもともと“水物”なので、中継ぎ(投手)というか、ブルペン(投手)陣が、先発投手含めて、ある程度、計算通りといいますか、そういう試合を作ってくれたのが大きかったと思いますね」

ホークス投手陣の3~4月の防御率は『3.14』に対し5月の防御率は『2.32』。大幅に改善している。「1点差ゲームで勝ったゲームが多かったと思うんですけど、そういう試合ができたというのは、やっぱり投手陣のおかげだなと思いました」

「そこがちゃんとしていれば、巻き返せるとは思っていました。そこがないと巻き返しは厳しいと思いますね」
“不動の4番”を7番へ 代わりは…
ホークス加入から常に4番を務めていた山川穂高選手(33)。小久保監督は、昨シーズン、不振に陥ったときも山川選手を4番で使い続けた。「山川を4番から外そうというのも、そこはかなり考えましたけどね。そこはチームが勝つためと」初めて4番から外し、7番に替えたのが5月15日だった。

4番の役割にこだわりを持つ小久保監督だったが「まあ山川だけがずっと残って、ちょっと1人で背負いすぎている感がちょっとあったので、ちょっともう楽なところでというので、打順を下げましたけどね」

代わりに4番を任せたのは、シーズン前は代打専従と言われていたプロ18年目のベテラン、中村晃選手(35)だった。「バッティングコーチの方からも『晃のスタメンは、ありませんか?』という話もありました。僕は絶対それはした方がいいなと思ったんで。(理由は?)技術力と精神力とすごいんです。左右(投手)関係ないバッターですからね。“繋ぎ”もできる4番というイメージなので、当然、バント(サイン)も出そうと思っています。まだ出してないですけれど(笑)」

「何とか凌いで日本ハム(ファイターズ)に離されないでおこうという考えはあります。山川をいずれまた4番に戻さない限りは、ハムを追い抜くことは難しいと思っているんですよ」

「だから、あくまで山川の状態がしっかり上がってきて、やっぱり近藤、山川、2人並ぶ打順を組めて初めてこのハムに追い付く態勢が整うと思うんですよね。そういうなかで、その時期をどうするかというのが、今、常に僕の頭にあります」

「優勝争いから、はみ出さないという思いでやってきたのでね」と話す小久保監督。いよいよセ・パ交流戦がスタート。パ・リーグ上位のチームの勝敗も気にしながらの3週間が始まる。
(テレビ西日本)