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「合宿はめちゃくちゃしんどかったけど、宮崎の人の優しさに癒された」。
ラグビー元日本代表の廣瀬俊朗さんは、現役時代の思い出をそう振り返る。2016年の引退後、彼が再訪の地に選んだのは、かつて汗を流した宮崎だった。ラグビーボールを苗に持ち替え、荒廃農地の解消に挑む廣瀬さん。アスリートとして最も大切にしてきた「食」を通じて、子どもたちに伝えたいメッセージとは。

宮崎との縁が生んだ活動

3月、宮崎市の砂浜で、子ども向けのラグビー教室が開かれた。

教室を開いたのは、ラグビー元日本代表でキャプテンも務めた廣瀬俊朗さん。 

廣瀬さんは2016年の現役引退後、ラグビー教室のほか、宮崎や新潟など全国3カ所で地域の課題解決に向けた取り組みを行っている。
現在、神奈川県に住む廣瀬さんが宮崎との関わりを深めたきっかけは、現役時代に訪れた合宿だった。

HiRAKU代表 廣瀬俊朗さん:
何よりも人がみんな優しくて癒されて、合宿めっちゃしんどいけど、また頑張ろうという気持ちにさせてくれた。本当にいい場所。引退したあとも宮崎の人と関わりを持ちたくて、選んだ。

荒廃農地を再生し食育場へ

ラグビー教室を終えた一行が向かったのは…

宮崎市内にある約40アールの田んぼだ。ラグビー少年たちが泥の感触を楽しみながら田植え体験をおこなっている。

廣瀬さんは、西アフリカのガーナで自給自足の学校給食支援を行う友人の銅冶勇人さんと協力し、2022年から宮崎市で田植え体験を行ってきた。

田植え体験を企画した背景には、アスリートとして「食」を重視してきた経験があるという。廣瀬さんは「アスリートが大事にしているのは食なので、お米の大切さをもう少し、日本のみんながちゃんと分かるようなきっかけを作りたい」と話す。

そんな廣瀬さんの志に共感した地元農家の小倉俊博さんは、農業のノウハウを伝授するとともに、体験用の田んぼの管理をボランティアで引き受けている。

地元の農家 小倉俊博さん:
廣瀬さんが宮崎に来てくれる。その恩返しがもちろん1番。

HiRAKU代表 廣瀬俊朗さん:
(小倉さんは)活動のすべてと言っても過言ではない。コメの大切さも教えてもらったし、感謝している。

増加する荒廃農地と地域の協力

この取り組みは、地域の深刻な課題解決にも一役買っている。

現在、宮崎県内では農家の高齢化などに伴い荒廃農地が増加しており、2024年度末には3091ヘクタールに達している。地域住民の長倉さんは「耕作放棄地(荒廃農地)になるとイノシシの被害があったりする」と話す。
田植え体験は回を重ねるごとに参加者が増えている。初回は10人程度だったが、5回目となる今回は約120人が参加した。

参加した子ども:
すごく楽しい。初めて。ドロドロして気持ち悪いけど、そのあとに楽しいの連続があってうれしい。

参加した子ども:
やっていくうちに楽しくなって、最初より嫌な感じはなくなった。おにぎりとかにして食べたい。

「自分が想像している以上に、いろんな人が携わってくれるようになったのでめちゃくちゃよかった」と話す廣瀬さん。農業が抱える課題をワクワクする体験に変え、多くの人を惹きつけている。

HiRAKU代表 廣瀬俊朗さん:
「ランチ定食できました」ぐらいのことが将来できたらおもしろい。お味噌汁と冷や汁も作りたい。お豆腐とかきゅうりを作ったりとか、そういうのがひとつの夢」
ラグビーで培ったノーサイドの精神と結束力は、今、宮崎の豊かな大地を守り、子どもたちの未来を育むための大きな力となっている。

(テレビ宮崎)

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