
2026年、設立20周年という大きな節目を迎えたセンダイガールズプロレスリング、通称・仙女。象徴であった里村明衣子さんが2025年4月に現役を引退し、団体が「第2章」へと踏み出して1年。サクラの開花とともに、未来のスター候補となる18歳の新星が道場の門を叩いた。
3年ぶりの新風、茨城から来た18歳の決意
春の訪れとともに仙女に入門したのは、茨城県出身の高野玲菜さん。3月に高校を卒業したばかりの彼女は、団体にとって実に3年ぶりとなる待望の練習生だ。
プロレス好きの父の影響で中学時代から会場へ足を運び、特に仙女の試合が見せる「強さとかっこよさ」に心を奪われてきた。
高野玲菜さん:
強くてかっこよくて、会場の熱気、もっと見たいっていう試合がたくさんあって、仙女は女子プロレスで一番かっこいいなって。入るならここがいいって思いました。
高校2年生という将来の進路を決定する重要な時期に、彼女は仙女の公式サイトで新人募集の告知を目にする。「受からなければ普通に就職しよう」と挑んだオーディションだったが、そこには高い壁が立ちはだかっていた。
「腕立て伏せ0回」からの大逆転
オーディションには腹筋や背筋、スクワットなど7項目の体力テストが課されるが、競歩やバスケットボールといったスポーツを経験してきた彼女でも、腕立て伏せが一度もできない状態だったという。身体も細く、代表の里村さんも当初は「大丈夫かな」と不安を抱いたほどだ。
しかし、そこから彼女の執念が始まった。筋力トレーニングを一からやり直し、地道に努力を重ねた結果、2025年8月の体力テストを見事全項目クリアして合格を勝ち取った。
里村明衣子さん:
気持ちの面ですごく強い子だし、努力家だなと思いました。戦力になっていく子なので大事に育てたいです。
里村さんは彼女の身体能力以上に、その“気持ち”と“努力”を高く評価し、大きな期待を寄せている。
厳しい道場生活と先輩たちの期待
入門2日目。高野さんの朝は道場の掃除と礼儀の習得から始まった。一番歳の近い21歳のYUNA選手から挨拶の作法や社会人としての基本を教わる。
YUNA選手:
朝、先輩が出勤してきたらすぐに、「おはようございます、本日もよろしくお願いします」って挨拶をして。
一つ一つの言葉を必死にメモに書き留める高野さんの姿は、真剣そのものだ。

マット上でのトレーニングでは、ブリッジ返りなど自主練習の成果を披露。
実家でのトレーニングを継続してきた彼女の動きには、トップレスラーの橋本千紘選手も、その準備の質の高さに驚嘆する。
橋本千紘選手:
ふつうはできないと思います。すごく良いものを持っている。プロレスラーになりたいって気持ちを、すごく作ってきたんだなというのを感じて、私は期待以上だったなと思います。
走って、担いで、先輩たちの驚異的な体力に圧倒されながらも、その瞳には力が宿っている。かつて客席から見上げていた「強くてかっこいい仙女の選手」になるという夢が、今まさにリングの上で現実の目標へと変わろうとしている。
20周年の仙女が描く「第2章」の未来
里村明衣子さんが引退時に語った「スーパースターを育てる」という目標は、今、高野玲菜さんという新しい希望に引き継がれた。20周年という歴史の積み重ねと、新章を支える若い力。18歳の練習生が踏み出した一歩は、女子プロレス界に再び大きなブームを巻き起こすための、確かな火種を感じさせる。
高野玲菜さん:
先輩たちの練習についていけるように、もっともっと頑張りたい。仙女の選手みたいに、強くてかっこいい選手になりたいなって思っています。
厳しい練習についていくのが精一杯の毎日だが、彼女の見据える先は揺るぎない。「憧れの舞台を観客で埋め尽くすスター」になるため、仙女の新人は今日も道場で汗を流し続ける。
