先週末のFNN世論調査の結果は大変興味深かった。質問の設定が良かった。

憲法改正のたたき台として自民党がまとめた4項目について個別の賛否を聞いているのだが、筆者は大手メディアの調査では初めて見た。

憲法への自衛隊明記は約6割賛成

4項目のうち最も賛成が多かったのが「教育の充実」の83.3%だった。これは教育の無償化など「経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保する」ということなので、反対が少なかったのだろう。

FNN世論調査 2026年4月
FNN世論調査 2026年4月
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「緊急事態条項の創設」は66.2%、また「自衛隊の明記」は59.3%が賛成だった。どちらも6割程度の賛成ということで国民投票をクリアする可能性は高いと思う。

最も賛成が少なかったのが「参議院の合区の解消」で54.1%だったのだが、これはまだ一般の認識が進んでないからではないか。

現在は島根と鳥取、高知と徳島の2ヶ所で合区になっているのだが、最新の人口調査で試算すると和歌山と山梨が合区になる可能性があるという。

「飛び地の合区」というのは民意の反映が難しくなるので早急にこの問題は解決が必要、ということを周知すれば賛成は増えると思う。

「時は来た」

12日に開かれた自民党大会で高市早苗総理(党総裁)は憲法改正について「時は来た。発議に何とかメドが立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」と意欲を示した。

自民党大会で発言する高市総理 4月12日
自民党大会で発言する高市総理 4月12日

だが15日に開かれた参院憲法審査会で自民党は憲法改正の「条文起草委員会」の設置要求をしなかった。衆院では設置要求をしたのだが参院では少数与党のため抑制的な対応をしたものと見られる。

ただ参院でも憲法改正に一定の理解を示す国民民主党、参政党、日本保守党、チームみらい、それに無所属議員を加えると3分の2は超える。あとは高市総理の「やる気次第」だろう。

女性皇族の結婚後の在り方に世論は

もう一つ興味深かったのが皇位継承に関する質問だ。女性皇族の結婚後の身分のあり方については以下の結果だった。

「結婚後も皇族。夫や子は皇族としない」35.8%
「夫や子も皇族」28.9%
「今のまま結婚後は皇族を離れる」29.7%

女性皇族の結婚後の身分について世論は…
女性皇族の結婚後の身分について世論は…

これは意外な結果だった。まず結婚後も皇族に残る場合、夫や子は「皇族としない」が「する」より多かった。これは逆かと思っていた。また「今のまま」というのが3割いるというのは考えてみれば当然かもしれない。

この3択のうち「女系天皇」に「つながる」可能性があるのは2番目の「夫や子を皇族とする」場合だけなので、少なくとも7割近くは「女系天皇」を望んでいないという理解でいいのではないか。

女性天皇は歴史上8人

メディアの調査で「女系天皇を望む声が多い」というニュースがよく出るのだが、答える側が「女系天皇」と「女性天皇」を混同している可能性が高い。女性天皇と女系天皇の違いはあまり浸透していないようなので皇室典範改正にあたってはもう少し周知した方がいいと思う。

ちなみに「女性天皇」は歴史上8人いるがいずれも「男系」であり、「女系天皇」は存在しなかった。

現在の皇室典範では不可能だが、愛子さまや佳子さまなど、天皇陛下や男性皇族を父に持つ女性皇族がもし天皇になられたとしたら「男系」の「女性天皇」であり、その女性皇族が結婚されて皇室に残り、その子が皇族となって天皇になった場合は男女にかかわらず「女系天皇」となる。

これが「女性天皇」と「女系天皇」の違いである。

高市総理は「男系男子」継承を重視ししているが…
高市総理は「男系男子」継承を重視ししているが…

高市総理は「男系男子」の継承を重視しているが、「女性天皇」については「歴史上8人存在されたので否定するのは不敬」との立場を取っている。つまり女性が天皇になることを否定しているわけではない。世論は実はこの高市氏の立場に近いのではないかと思う。

“高市支持”の若者層は保守的

ところで今回、内閣支持率は3月より約3ポイント増えて70.2%で、2ヶ月ぶりに70%台を回復した。他社を見ても依然高い水準を維持している。

中東情勢の不安定化による原油価格急騰への政府の対応については52.2%が「不十分だ」と答え、「十分だ」の39.6%を引き離している。またイランを攻撃した米国の対応については「支持しない」が76.1%で圧倒的だった。

トランプのせいで原油価格が上がったとの怒りが…
トランプのせいで原油価格が上がったとの怒りが…

国民は「トランプがイランを攻撃したから原油価格が上がった」と怒っており、高市総理は米国のイラン攻撃の評価をせず、ある種の「黙認」をしているため、これが理由で内閣支持率が下がるかのなと思っていたのだが、これも意外な結果だった。

同時期の読売新聞の調査では内閣の支持理由として「首相の指導力」(26%)が1位で「政策に期待」(22%)が2位だった。

つまり国民はイラン情勢に対する高市政権の対応に必ずしも満足はしていないが、それ以上に高市氏の政策や指導力に期待しているということだろう。

高市内閣の支持者は総理の指導力に期待している。
高市内閣の支持者は総理の指導力に期待している。

高市政権は若者の支持が高い。そして傾向として若者の方が高齢者より保守的な政策を好む。

すなわち高市総理は皇室典範改正にしても、さらに憲法改正にしても、「指導力」を発揮して「政策」をバシッと実現した方が若者を中心に支持されるのではないか。

【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。