まだ5月だというのに真夏日を記録するなど年々暑くなるなか、来週から職場での熱中症対策が義務になる。

企業は一体どういった策を講じるのか。

そして熱中症対策の切り札になるかもしれない“最新機器”を取材した。

片平敦気象予報士
片平敦気象予報士
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■5月から真夏日 「ことしも猛暑の予想」と片平気象予報士

5月も終盤。22日には大阪で、ことし初めての「真夏日」となり、異例の暑さが続く。

街の人:暑いです、きついです。まさかこんな暑いと思わなかったんで。

(Q.夏は好きですか?)
街の人:嫌いです!

やっぱり夏は苦手という声も。

去年の夏は2年連続の記録的猛暑となったが、果たしてことしはどうなるのか。

片平敦気象予報士:今年の夏は猛暑になる見通し。平年と比べるとことしの夏、気温が高い予想となっていますからしっかりと暑さ対策していただきたい。

ことしの夏も猛暑の予想!そして、真夏を前に私たちに迫る熱中症の危機とは。

「夏は嫌いです!」
「夏は嫌いです!」

■「熱が臓器を壊す」  5月から真夏日、この夏も猛暑で熱中症リスク高まる

おととし、去年に続いて、この夏も猛暑の予想。そして暑くなると私たちに迫る危険が「熱中症」だ。

熱中症になった時、私たちの体には一体何が起きるのか。

日々、多くの救急患者を受け入れている、大阪赤十字病院の水医師に聞いた。

大阪赤十字救命救急センター 水大介医師:うまく体温調節ができない。発汗がすごくて脱水になっている、というとこから始まる。最重症になると、すごく体温が熱いっていう意識障害。熱そのものによって臓器障害が起こってくる。

普段、私たちは汗をかくことで体の表面から熱を逃がして、体温を調整している。

しかし、気温や湿度が高い環境で長い時間活動すると、汗として体内の水分や塩分が大量に排出される。その結果、脱水症状になったり、汗をかけなくなったりして、体の内部の温度、深部体温が上昇。熱中症となるのだ。

熱中症で、私たちの体には一体何が起きるのか
熱中症で、私たちの体には一体何が起きるのか

■熱中症対策、企業の『義務』に 過去最多の搬送者数受け国が法規制強化

そして、熱中症と言えば、夏本番の7月や8月を思い浮かべるが…。

大阪赤十字救命救急センター 水大介医師:6月ぐらいから、だんだん増えてくる。気温がそこまで高くなくても、ものすごい湿度がある環境では、明らかに熱中症が増える。

実際、消防庁によると、去年5月から9月にかけて熱中症で病院に運ばれた人は、9万7578人と、統計を取り始めた2008年以降、最多となっている。

この状況を受け、国も手を打った。

6月から職場の熱中症対策を、企業の義務とすることに決めたのだ。

対策を怠った場合、「6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科せられる。

6月から職場の熱中症対策が企業の義務
6月から職場の熱中症対策が企業の義務

■現場の熱中症対策最前線 塩分補給ゼリーや熱中症対策デバイス

この対策の義務化に企業はどう対応していくのか。熱中症の危険性が高い業種のひとつ、建設現場を訪ねた。

室内の休憩所では…作業員が、何かを食べている。

職人:おいしいです。

食べているのは、熱中症対策としてこの企業が独自に開発した、塩分を補給するゼリー。

他にもこの工事現場では、1日に3回は休むことをルールとしているそうだ。

職人:建物の中も結構蒸し暑くて、風通しを良くして、色々やってもらってます。

そして気になったのが、作業員達の手についている白い端末。どの人も装着している。

(Q.手元のそれは?)
職人:これ“カナリア”っていうやつ。ピピピってなると、休憩しなさいという合図。

職人:実際、職人のアラームが鳴って、休憩させた経験もあるので、ちょっと痙攣(けいれん)したりを未然に防ぐために支給していただいて。

塩分を補給するゼリーを食べる職人
塩分を補給するゼリーを食べる職人

■『自分は大丈夫』が命取り 4000現場で導入の熱中症検知デバイス

「カナリア」と呼ばれる謎の白いデバイス。

すでに国内や海外、およそ4000の現場で導入されているということだが、一体、熱中症にどう有効な機器なのか。

開発した企業は大阪にあった。

Biodata Bank塩津隆弘さん:深部体温は口や直腸、体の中に測定器を入れて測定するような指標だったけど、カナリアは腕から(深部体温の)上昇を捉える。

「カナリア」と呼ばれるデバイス
「カナリア」と呼ばれるデバイス

実験施設で、夏の気象条件を再現し、カナリアを装着して運動してもらった。
(温度35度、湿度70%)

(Q.どう?)
Biodata Bank八重樫将之さん:暑いです!

Biodata Bank塩津隆弘さん:この環境だと汗かいても蒸発していかないんで、かなり過酷な状況、湿度が高い状況。

徐々に深部体温があがっていく。

今回の実験では、30分で1.3度上昇。

仮におよそ1.5度の体温上昇を検知すると・・・ピーピーピーと音が鳴り、熱中症リスクの上昇を伝えてくれるのだ。
(※デモ実験のため設定で音を鳴らしています)

カナリアが鳴った後は、涼しい部屋でおよそ15分休憩することを推奨しているそうだ。

Biodata Bank八重樫将之さん:自覚と全然違うんですよね、実際の(深部体温は)。自分は大丈夫と思って働いちゃうのが日本人なので、結構怖いなと思います。

早くも私たちの身に迫る熱中症の危機。

(関西テレビ「newsランナー」2025年5月29日放送)

夏の気象条件を再現し実験
夏の気象条件を再現し実験
関西テレビ
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