飼い主のいない猫(野良猫)に不妊⼿術をして元の場所に戻す「TNR」活動。猫の繁殖スピードに追いつかず、1年間で6899匹、宮崎県内だけで300匹以上の猫が殺処分されている。そこで、宮崎県内のボランティアが⽴ち上がり、⼩林市にTNR専⾨の病院が開業した。
TNR専門病院の誕生

2025年4⽉、宮崎県⼩林市に開院した「はちどりTNR病院」。どうぶつ基⾦が費⽤を助成し、無料で不妊⼿術を受けることができるTNRの専⾨医院だ。

施設は、町内で空き家となっていた場所を活⽤し、地域のボランティアが中⼼となって⼀から整備を進めてきた。

⾏き場のない猫たちを救うため「誰かがやらなくては」と⽴ち上がったのは、⼩林市の寺⽥千明さん。会社員としてフルタイムで働く傍ら、退社後や休⽇を利⽤し、野良猫の保護や不妊⼿術、負傷猫の引き取りなど、すべてを個⼈で⾏っている。

寺⽥千明さん:
猫のお世話をしていた方が2年前くらいに突然亡くなられて、そこから引き継ぎ、毎日きている。猫が待っているので、来なかった日はない。当時43匹いた猫すべてに不妊手術を行い、現在は10匹になった。

寺田さんは現在、行き場のなくなった猫を保護するシェルターを整備中だ。
白猫との運命的な出会い

5年前からこの活動を⾏っている寺⽥さん。きっかけは、ある1匹の猫との出会いだった。
寺⽥千明さん:
突然うちに真っ白なガリガリの猫がやってきて、その子に「ごはんをあげたいな~」と思ったときに、「ごはんをあげるんだったら、赤ちゃんを産むよな…手術をしないとな」と思ったのが最初の1匹目で、きっかけ。

寺⽥千明さん:
この子にはごはんあげるけど、この子にはあげない、というのができない。やっぱりみんな同じ命かなと思ったら、どんどんやることになっていった。
5年間で1000匹以上の猫の⼿術を⾏ってきた寺⽥さん。⽇々の活動でTNRの⼤切さを実感し、病院の開設を決意した。開院初⽇は寺⽥さんの活動に賛同した多くのボランティアが集まり、受付などの業務にあたっていた。
病院を立ち上げた寺田千明さん:
たくさんの⽅の協⼒でここまでたどり着けたので、ほんとにありがたい。
みんなにやさしいTNR活動を

⼿術を請け負うのは、⿅児島市内で動物病院を運営している獣医師の浜崎菜央さん。浜崎さんは獣医師として通常の業務をこなしながら⾃らも野良猫の保護や譲渡活動を⾏っていて、TNRの活動にも⼒を⼊れている。
はちどりTNR病院 浜崎奈央院⻑:
ボランティアさんも家庭があって仕事がある中でやっているわけで、私も同じように仕事や家庭があって、そのなかでボランティアとして携われたらという思いでやっている。

病院では2⽇間で150匹の⼿術を⾏うことを⽬標としていて、県内各地から⼿術をしていない野良猫を受け⼊れる。

浜崎奈央院⻑:
1⼈でも多くの⼈が参加してくれることで⼀⼈一人の負担が減っていくと思うので、理解してもらうこと、広めてもらうことが⼀番。みんなにやさしいTNR活動、TNRの病院でありたいなと思っている。
寺⽥千明さん:
活動は「TNR一本。保護はできません」というスタンスでやっている。でも、負傷した子たちや見捨てられない猫に関しては、行政と協力しあいながら、1匹も殺処分のないように、かわいそうに亡くなっていく命をなくしたい。ほんとにみなさんの協⼒があって今があるんで、たくさんの県内の猫を受け⼊れて、もっともっとこの活動が広がることが願い。

⼀⼈一人の優しさでつなぐ、⼩さな命。殺処分がゼロになるその⽇まで、活動は続く。
このTNR専⾨病院での無料⼿術の対象となるのは、どうぶつ基⾦の無料不妊⼿術事業に合意した15の⾃治体で、⼿術を受ける際には予約が必要だ。
【無料不妊手術の対象自治体】
延岡市・日向市・五ヶ瀬町・高千穂町・日之影町・門川町・美郷町・都農町・木城町・新富町・日南市・都城市・三股町・小林市・国富町
詳しくは各⾃治体にお問い合わせを。
(テレビ宮崎)