兵庫県の斎藤知事の疑惑を告発した、元県民局長の私的情報が漏えいした問題。
県の第三者委員会は、当時の総務部長による漏えいを認定し、漏えいは「斎藤知事らの指示で行われた可能性が高い」と発表した。
■「知事の指示」で情報漏えいか、第三者委員会「可能性が高い」と結論
27日午後、始まった兵庫県・第三者委員会の会見。
工藤涼二・第三者委員会委員長：（当時）兵庫県総務部長であったE氏は、元県民局長の私的情報を紙に印刷した資料一部を提示し、合わせてその内容の一部を口頭で述べるなどして、秘密を漏えいしたと認められる。
27日、公表された調査報告書によると、当時の総務部長（E氏）が元県民局長の私的情報を紙に印刷した資料を、外部に持ち出した事を認定。
その後、「3人の県議に見せたり、口頭で説明していたりしたことが分かった」と発表した。
総務部長は、当初、漏えいを否定していたが、ことし2月に供述を変え、弁明書を提出。
そこに新たに書かれていた事とは…。
■「議員に情報共有しといたら」 総務部長の弁明書が明かす新事実
工藤涼二・第三者委員会委員長：知事ないし元副知事の指示の有無についてでございます。令和6年4月4日、5日ころE氏（総務部長・当時）がD,・C同席の席上で知事に対し、『元県民局長の公用パソコン内に、私的情報に関わる大量の文書等があることがわかった』と報告したところ、知事は『そのような文書があることを、議員に情報共有しといたら』と指示したという供述をされました。
総務部長は情報漏えいに関して、「斎藤知事や片山前副知事の指示によるもの」だと説明したのだ。
第三者委員会の聞き取り調査に対し、斎藤知事は指示を否定しているが、同席者らは総務部長の新たな主張に沿う供述をしているということだ。
工藤涼二・第三者委員会委員長：E氏（総務部長・当時）の新主張と一致していることからすれば、これらの供述の信用性を否定することはできないと評価するのが相当である。これと整合しない知事の供述は、採用することが困難というべきであるという結論に達しました。E氏は知事からの指示、同調する副知事の指示により、元県民局長の私的情報について情報開示、漏えいをおこなった可能性が高い。
■斎藤知事と元総務部長らの証言には食い違い
第三者委員会の報告書で新たに分かったことだ。
斎藤知事のパワハラ疑惑などを告発した元県民局長の公用パソコン内にある私的情報を当時の総務部長が県議3人に漏えいさせた。
この情報を知った県議3人は、元県民局長の人間性に疑問を抱かせ、「告発文の信用を下げる目的ではないか」と捉えたという。
報告書の中で衝撃の新証言もあり、「斎藤知事らが漏えいを指示した可能性が高い」ということだ。
一方で、第三者委員会の聴取では、知事と元総務部長らの主張が食い違っている。
斎藤知事は情報漏えいについて、「何か指示をしたことはない。（元）総務部長がと独自の判断で情報共有したと思う」と発言している。
以下は、元総務部長らの聴取内容だ。
・元総務部長：文書があることを議員に情報共有しといたら」と知事から指示があった。
・当時の理事：“議会執行部に知らせたらいいんじゃないか”と理解できる知事の発言があった。
・片山元副知事：直接指示は受けていないが、理事に「知事から情報共有の指示があった」と聞いた。
■「公益通報を保護するどころか、告発を潰そうとしていた」と浜田敬子さん
ジャーナリストの浜田敬子さんは、元県民局長の告発について、「公益通報を保護するどころか、告発を潰そうとしていた」 と指摘する。
ジャーナリスト浜田敬子さん：報告書を読むと、総務部長の発言として『こんな人間が作った文書、信用できるわけないやろう』という発言がある。最初から公益通報として保護するどころか、告発を潰そうとしていた。しかも私的情報が入っていることを利用して潰そうとしていたという意図が今回明らかになった。
また、関西テレビの神崎博報道デスクは、今回の第三者委の認定について、「非常に重い」と解説した。
関西テレビ神崎博報道デスク：総務部長は斎藤知事の最側近の1人で、斎藤知事を守りたかった。守り通そうとして、当初は疑惑についても否定していた。このままだと自分だけ処分される恐れがあると、証言を翻して、『斎藤知事の指示があった』という証言をして、第三者委員会が認めた上で、知事が漏えいを指示た可能性が高いというところまで出た。第三者委員会の認定は非常に重いと思う。
（関西テレビ「newsランナー」 2025年5月27日放送）
