中野サンプラザ跡地の複合施設建設計画が22日、事業費高騰で白紙撤回となった。築50年超で老朽化が進み、修繕費は100億円ともいわれる。都内では、築50年以上の商業施設が一時閉館後にリニューアルした例もあり、専門家はリフォーム・リノベーションという手法が現実的ではないかと指摘する。
「廃墟にしては広すぎる」再開発白紙撤回で事業計画が頓挫
東京・中野区の「中野サンプラザ」跡地の再開発計画が、白紙撤回となることが判明した。

街の人からは、「放置はしてほしくないですね」「廃墟にしては広すぎる」と廃墟化を懸念する声もあがっている。
結婚式やコンサートの会場などとして多くの人に愛されてきた「中野サンプラザ」は、2023年7月に惜しまれつつ閉館した。

その跡地や周辺には複合施設が建設される予定だったが、事業費の高騰などで再開発計画はストップした。開発を進めていた不動産会社などと協定の解除で合意し、正式に「白紙撤回」となることが22日に分かった。
健康食卓わしや・店長:
期待感があったんですけど、やはり客の入りが違うので建物があるのとないのとでは。放置状態だと見た目も。
中野区に住んでいた人:
たまり場になってみたいのもあったりするんで、そういうふうにならなければ…。
中野区民:
また復活するって。放置するのはもったいないよね、いくらなんでも。

建て替えをせずに、リニューアルでの復活を期待する声も聞かれた。しかし、建築から50年以上経つビルは、至るところで老朽化が目に付くのが分かる。
取材班:
地下からの排気口でしょうか。塗装が剥がれていてかなり古くなっています。
2025年3月、中野区長はリニューアル利用についてこう話している。
中野区・酒井直人区長:
仮に使うとしても、相当手を入れなければいけない。(修繕費に)100億円くらいはかかるんじゃないか。投資した額を回収できるのかと考えたとき、なかなかこれは現実的な数字ではないと考えている。
廃墟化懸念も…リフォーム再生案に希望
一方、都内ではこうした例もある。

東京・品川区の五反田にある築50年以上の商業施設TOCビルが建て替えのため一時閉館したものの、建設費の高騰などを理由に延期した。その後、リニューアルして営業を再開している。
専門家は、中野サンプラザの復活の可能性についてこう指摘している。
不動産コンサルタント・長嶋修さん:
廃墟になるということは考えにくいと思う。あれだけ立地のいいところ駅前・駅近ですから、建物本体骨格のところさえしっかりしていれば、表面の老朽化部分はきれいになって再び使える。リフォーム・リノベーションという手法で、予算を抑えながら大事にしていくという手法をとるのが現実的ではないかと思います。
(「イット!」5月23日放送より)