今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。子供を中心に感染症が猛威をふるっています。いったいなぜなのでしょうか。担当は森岡さんです。

(森岡紗衣記者)
「今、全国で流行しているのが「百日せき」です。百日せきは名前の通り激しいせきが2、3カ月にわたって長く続くのが特徴で、特に子供がかかりやすく赤ちゃんは重症化するリスクが高いとされています。岡山県が公表している百日せきの患者数の推移をみると、5月16日に発表された最新のデータでは県内の患者数は430人で過去最多を更新しました。なぜ今、百日せきが流行しているのでしょうか」

百日せきの症状の特徴を岡山市南区の小児科、すこやかこどもクリニックの江口直宏院長に聞きました。

(すこやかこどもクリニック 江口直宏院長)
「百日せきは熱が出ないことが特徴。最初のうちは普通にせきや鼻水が出て風邪とほとんど区別できない。1週間前後、時間が経ってくるとせきが増えてくるのが特徴」

百日せきは「百日せき菌」という細菌による感染症。風邪と区別がつきにくい一方で、百日せき特有の症状もあるといいます。

(すこやかこどもクリニック 江口直宏院長)
「百日せきの特徴はせきが連続するので息を吸うことができない。息を吸えないので苦しくなり、最後にヒューっと息を吸い込むような発作性のせき込みになる」

百日せきは小・中学生に多く見られますが、全ての年代がかかる可能性があります。特に、赤ちゃんは重症化する恐れもあり、注意が必要といいます。

なぜ今感染が拡大しているのか、その背景にあるのが定期接種の落とし穴です。

(すこやかこどもクリニック 江口直宏院長)
「(生後2カ月から)定期接種を行うことになっている。幼児期の前半くらいは効果が得られるが、小学校に入るころには効果が薄れている」

さらに江口院長はここ数年の社会状況に最大の要因があると指摘します。

(すこやかこどもクリニック 江口直宏院長)
「コロナ禍でいろいろな感染症に対する免疫が低下していることが一番の要因。せきエチケットや手洗いなど、基本的な感染対策はしっかりとしてもらいたい」

(森岡紗衣記者)
「今、百日せきが流行している要因は大きく分けて2つ考えられます。一つ目が、成長するにつれて定期接種の効果が薄れていることです。百日せきは一般的に生後2カ月から5種もしくは4種混合ワクチンを3回接種し、1年後に追加で1回接種します。ワクチンの効果は5~10年程度で低下するといわれているので、ちょうど小学生の子供が感染しやすくなるということになります。保険適用外にはなりますが、追加のワクチン接種で免疫力を維持することが効果的だということです。

そして、百日せきが流行した最大の要因が「新型コロナ」です。コロナ禍のマスク生活や感染症対策により、ウイルスへの免疫が大幅に低下してしまったことが考えられます。

コロナ禍の岡山県内での患者数の推移を見てみましょう。長くウイルスに触れない生活が続いた結果、過去最多の患者数に増加してしまいました。実はこのような状況、百日せきだけではないんです」

今、埼玉や東京など関東地方で子供を中心に異例の流行となっているのが「水ぼうそう」です。ウイルス性の感染症で発熱と共に全身に発疹が出るのが特徴です。岡山、香川ではまだ目立った流行は見られていないものの、百日せき同様、一気に広がる可能性もあるといいます。

(すこやかこどもクリニック 江口直宏院長)
「水ぼうそうは1歳で定期接種を2回受けるのが標準的だが、それもいずれは免疫が落ちてくる。水ぼうそうのウイルスと接触することのない状況が続いていると免疫が下がってきて、いずれ中高生でも 流行する可能性がある」

(森岡紗衣記者)
「長く続いたコロナ禍の反動は思わぬ形で表れています。感染症への意識が薄れがちな今、改めて、手洗いやうがいなど基本的な対策を日常的に取り入れていくことが求められます」

岡山放送
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