倉敷市阿知のファーマーズホールディングス(HD)が、7月24日、関係会社11社とともに大阪地方裁判所に民事再生法の適用を申請したことが、民間の信用調査会社の調べでわかりました。負債は12社合計で約91億円とみられています。

帝国データバンクの発表によりますと、ファーマーズHDは、2017年に設立された酪農業者です。IoTを取り入れた新しい酪農業の仕組み作りを目指し、株式上場を視野に入れて同業者を買収するなどして拡大してきました。

ファーマーズHDは牛の肥育、関連会社の事務処理代行を手がけ、グループ全体で1次産業(牧場経営)、2次産業(牧場の生産物を使用した加工品製造)、3次産業(加工品の販売店の経営、生産物・加工品を使用した飲食店の経営)から6次産業(各農場で生産された生乳や食肉を自ら消費者に販売する)まで対応する体制の構築を進めていました。

また、各種ファンドからの資本導入も受けるなどして資金力を高め、酪農業を担う関連会社の乳牛が整備され、搾乳が安定した2022年6月期には年売上高約7億7400万円を計上し、黒字転換を果たしていたということです。

しかし、翌2023年6月期には最終損益で再び大幅な赤字に転落するなど、安定した収益を確保するには至りませんでした。設備などへの多額の先行投資が負担となるなか、2024年1月以降は経営の中枢を担ってきた役員が相次いで辞任するなど、経営体制が不安定となったため、グループ会社の吸収合併など組織のスリム化にも努めていました。

飼料などのコストが収益をさらに圧迫し、新たな資金調達も困難となり、自力再建を断念したということです。負債は約16億円とみられています。

関係会社11社は
・ファーマーズサンフィード 負債約7億円(倉敷市)
・じんせき高原牧場 負債約13億円(広島・神石高原町)
・みよし高原牧場 負債約13億円(広島・三次市)
・あせひら乳業 負債約2億円(広島・三次市)
・あのつ牧場 負債約15億円(三重・四日市市)
・四日市酪農 負債約4億8000万円(三重・四日市市)
・たんば高原牧場 負債約470万円(兵庫・丹波市)
・さいと高原牧場 負債約3億円(宮崎・西都市)
・ありあけ幸鷹牧場 負債約5億円(熊本・玉名市)
・阿蘇ファーム 負債約4億円(熊本・阿蘇市)
・阿蘇ファームリアルエステート 負債約8億円(熊本・阿蘇市)

12社合計の負債は、債権者約600人に対して約90億8470万円とみられています。またスポンサー候補の神戸ETセンター(兵庫・姫路市)と基本合意済みで、DIPファイナンス(民事再生法の手続申立後から手続終結までの間に行う融資)を5億円調達する予定ということです。

岡山放送
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