山形県内は5月15日も暑く、山形で27.6℃など7月上旬並みまで気温が上がったところもあった。季節外れの暑さは農業にも影響を及ぼしていて、田植えシーズンを迎えた農家は温度管理に苦労している。

田植え前の苗育成時の温度管理がコメ作りの肝になる
田植え前の苗育成時の温度管理がコメ作りの肝になる
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コメの苗はビニールハウスで作られる

各地で田植えシーズンを迎え、白鷹町でも作業の真っ最中だった。

総面積40ヘクタールの田んぼを持つ船山ファームでは、5月9日から田植えが始まった。

5月に入ると山形・置賜エリアでは田植えが始まる
5月に入ると山形・置賜エリアでは田植えが始まる

取材に行った日、13センチほどに成長した雪若丸の苗が植えられていたが、そこまで苗を大きくするには栽培の苦労があるそう。

種をまいてから田んぼに植えられるようになる約13センチまで育てるのにハウスで約1カ月かかる
種をまいてから田んぼに植えられるようになる約13センチまで育てるのにハウスで約1カ月かかる

苗を育てている栽培用ハウスに入ってみると、足元一面にビニールが敷き詰められていた。

船山ファーム・船山隼人さんが、「30℃くらいないとなかなか最初伸びてこない、そのために栽培の最初にビニールをかける」と説明してくれた。

船山さんの後ろに、ビニールが一面に敷き詰められている様子が見える
船山さんの後ろに、ビニールが一面に敷き詰められている様子が見える

ハウスに置いてあるのは、種をまいてから3日経った雪若丸。
ビニールの下には、よく見ると小さな苗が芽生えていた。

この小さな発芽から約13センチまでハウス内で育てる
この小さな発芽から約13センチまでハウス内で育てる

「苗半作」ゆえに苗を育てる1カ月が重要

種をまいてから田んぼに植えられる大きさまでに育つには、約1カ月かかる。

苗の赤ちゃんは、極端な寒さや暑さに弱い。

発芽直後の小さな苗は寒さ・暑さに弱くデリケート
発芽直後の小さな苗は寒さ・暑さに弱くデリケート

寒さを避けるためハウス内で育てているが、季節外れの高温になると、逆に暑すぎて苗が「焼けて」しまい、成長が止まる被害が出るという。

寒くても暑くても苗には適さない
寒くても暑くても苗には適さない

船山ファーム・船山隼人さん:
外気よりもハウスの中は温度が上がる。しかもビニールの中はハウス内よりも3~4℃ほど高くなるので苗が焼ける、ダメになってしまう。(Q.田植え前の苗を育てる段階が負担?)ビニールをはがすまでが一番大変。

ある程度苗が成長したらかぶせていたビニールをはがして、徐々に苗の背丈を大きくしていく。

ハウス内が高温になり暑すぎると、苗が「焼け」田植えに使えない
ハウス内が高温になり暑すぎると、苗が「焼け」田植えに使えない

遮光ネット・空気入替え・水まきで徹底した温度管理

高温は苗の大敵。

船山ファームではハウス内を絶対に「25℃以下」に保つため、直射日光を遮る「遮光ネット」を設置している。

直射日光を遮る遮光ネットは、ハウス内の温度が高くなることを回避するために必須
直射日光を遮る遮光ネットは、ハウス内の温度が高くなることを回避するために必須

船山ファーム・船山隼人さん:
きょう(15日)は外が暑い日なので25℃くらい。遮光ネットを張っているので28℃くらいだが、貼っていないと今の段階で30℃は超えるかな。

さらにハウスの窓を開け閉めして空気を入れ替えたり、水まきの回数を増やしたりと、徹底した温度管理態勢をとっている。

ハウスの窓の開閉・水まきの回数を調整することで温度管理をしている
ハウスの窓の開閉・水まきの回数を調整することで温度管理をしている

そのかいあってか、田植えする予定の苗は青々とまっすぐに伸びていた。

船山ファーム・船山隼人さんは、「ここ最近の農業は全部高温対策に労力が割かれている。2023年は暑さで等級が下がり悪かったので、対策を立てていかなければと思う」と話していた。

コメ作りはまだ始まったばかり。秋の収穫まで気の抜けない暑さ対策が続く
コメ作りはまだ始まったばかり。秋の収穫まで気の抜けない暑さ対策が続く

船山ファームの田植えは6月上旬まで続く予定。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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