秋田市の海沿いにある公園で5月2日、風力発電の羽根が落下し、近くにいた80代の男性が巻き込まれて死亡する事故がありました。福井県内でも、過去に風車の羽根が落下した事故などが起きています。秋田の事故を受け調べたところ、あわら市波松の風車は、事故があった秋田の風車と同じメーカーのもので、事業者が緊急点検していたことが分かりました。
5月2日に事故が起きたのは秋田市の海浜公園です。風車の羽根が落下し、近くにいた80代の男性が巻き込まれて死亡しました。
風車の羽根の長さは約40メートル、タワーと呼ばれる支柱の高さは約80メートル。事故当時は最大瞬間風速23メートルの強風が吹いていました。この風車は設置から15年が経過していて、事故の前日には定期点検が実施されていました。風車は止めずに目視で外観を確認し、異常は見つからなかったということです。
さくら風力発電会社・盛高健太郎代表:
「地域の方々に不安を与えてしまっている可能性が高く、大変申し訳なく思っています」
現在も、事故の原因は明らかになっていません。
田島嘉晃アナウンサー:
「この事故を受けて、あわら市波松にある風車3基も一時運転を停止し、緊急点検が行われました」
県内では複数の場所に風力発電がありますが、このうちあわら市内には波松に3基、北潟に10基があり、市内などに電力を供給しています。
波松の風車に近づいてみるとー
田島嘉晃アナウンサー:
「見上げると首が痛くなるほどの高さです。波松の風車は地上から最も高い部分で約130メートル。この大きな羽根がもし落下したら…その衝撃の大きさが想像できます」
3社が出資してできた波松風力発電所。風車のメーカーは秋田と同じドイツのエネルコン社製ですが、モデルは異なり2022年に運転を開始した新型ということです。
波松風力発電所では秋田の事故を受け、5月2日に3基の運転を止めて、自主的に緊急点検を実施しました。目視だけでなく羽根の内部の構造も点検した結果、異常は確認さなかったため、6日に運転を再開しました。
近くの住民は「そりゃ怖いですよ。羽根が折れたと聞いたときもまさかと思いました」「身近に風車があるので、まず最初に『自分のところの風車は大丈夫か』と思いました。完全に100%安全ということはないと思うので、常に点検をして安全に運転を続けてほしいです」と不安を口にします。
過去には、県内でも風車の事故が発生しています。
2013年当時の記者リポート:
「高さ50メートル付近は真っ黒に焼け焦げ、3枚あった羽根はすべて焼け落ちています」
2013年には、福井市国見岳の風車1基に雷が落ち火災が発生、羽根3枚が落下しました。一方、あわら市北潟でも、2013年に風車1基の羽根の部品が外れて落下。その2年後の2015年には、同じあわら市北潟で風車3枚ある羽根のうち2本が根元から折れて地面に落下しました。県内のいずれの事故でもけが人はいませんでしたが、強風や落雷、経年劣化といったリスクは常に存在します。
風力発電の事業者は、国の技術基準や業界のガイドラインに基づいて定期的な点検や
メンテナンスを行っています。波松風力発電所も、落雷などで損傷の可能性がある場合には独自に点検を行う体制を整えています。さらに24時間体制で常に状態を監視し、異常があればすぐに検知される仕組みになっているとしています。
北潟の風車を運営する「電源開発」に、今回の事故を受けた対応について取材すると、普段から▼月1回の目視点検や風切り音の確認▼年1回の詳細な点検を実施し、常に風車の状態をデータで監視し、異常の兆候を見逃さないよう努めているといいます。ただ、10基の風車は秋田で事故が起きた型とは異なるものの、点検を検討しているとのことでした。
