2025年4月26日、栃木県の高速道路で3人が死亡、10人がけがを負った多重事故。事故の原因となった逆走車は「分かりにくい高速道路への入り口」で間違ったとみられている。その原因となった平面交差。調べてみると福岡県内にもあったのだ。
福岡県内にも高速道路の平面交差が
事故前に逆走の通報が相次いだという栃木県のインターチェンジには、信号があり、その信号を右に行くと本線に合流となる。左は本線から降りてくる車が通る道で、左に行くと逆走ということになるのだ。事故を起こした車が、ここから高速に入ったとすると、最初の信号で進入禁止である上り方面に進んだ可能性がある。

『平面交差』と呼ばれている構造。その平面交差は、福岡県内の高速道路にも存在していた。福岡市から九州自動車道を約60キロ南下したみやま市にある『みやま柳川インターチェンジ』だ。

インターチェンジを上空から見てみると、栃木県の東北自動車道で起きた事故の現場と全く同じ形で、2色で色分けされた入口と出口が交差している。

「『侵入禁止』の看板もありますが、少し分かりにくいです。左に曲がってしまうと逆走ということです」(実際に車で走行した記者)。平面交差はインターチェンジの『下り入り口』にあり、その形は栃木で逆走車が誤侵入したと見られるインターチェンジととても良く似ている。

高速道路に入るには「緑色の道」を進む必要があるが、誤って「赤色の道」に左折してしまうと、そのまま逆走してしまうことになるのだ。利用者に話を聞くと「分からない人だったらどっちに行けばいいか迷う」という意見や「標識をちゃんとしないとお年寄りとかは入っちゃうことはあるのかな」という意見。また「道がいっぱいあると分からなくなると思う。出口と入口が同時にあると『どっちだ?』となる」、「色で分かれてるけど夜だと分かり辛い」などと複雑な入り口に、高速道路を利用する人たちも戸惑いを感じることがあると話す。
逆走車に遭遇したら左側へ
ネクスコ西日本によると福岡県内にはこのほかに『小郡鳥栖南インターチェンジ』にも平面交差がある。分かり辛い平面交差に専門家も警鐘を鳴らす。

日本自動車ジャーナリスト協会の菰田潔会長は「高速道路内に平面交差がある、一時停止がある、信号があるというのは異常なこと。運転手の精神状態が不安定な場合でも、焦っている場合でも、逆走しないような道路構造にしないといけない」と話す。

実際に逆走車に遭遇した場合はどうするのか? 菰田会長は「まずはブレーキをかけてスピードを落とすこと。そして左に寄っていくこと。逆走車も左側通行のつもりできているので、避けるとすれば左に避けますから、こちらも左に避ければ互いにすれ違うことができるかもしれない」と話した。

人出や車の移動が増えるゴールデンウィーク後半。運転にはより一層の注意が必要となりそうだ。
(テレビ西日本)