国内最高峰のカーレース、スーパーフォーミュラ。その舞台に沖縄から初めて挑んでいるのが沖縄市出身の平良響選手だ。
2025年からレギュラードライバーとして国内トップの選手たちと競り合っているが、2025年4月中旬、栃木県で開かれたレースでは苦い結果となった。「この状況を乗り越えたい」と語る彼の挑戦に迫った。
トップカテゴリーでの苦戦 試される存在感
2024年に代役としてスーパーフォーミュラにデビューした平良選手は、2025年に念願のレギュラードライバーとしてフル参戦。しかしシーズン2戦を終えた時点では上位争いに加わるには至っていない。
「初めて走るサーキットや限られたテスト時間の中で挑んでいるため、なかなかクルマと自分の感覚を合わせきれない」と現状を冷静に受け止める平良選手。

さらに所属チームが公表したのはシーズン途中でのドライバー交代の可能性。トヨタが若手を育成する目的で新設したこのチームでは、結果を残せなければシートを失うという厳しい現実が待っている。

2人のレギュラーのうちどちらかが入れ替え対象となる可能性があり、2025年5月の第5戦終了時にその判断が下される。前半戦の要所となるこの2連戦は平良選手にとって自身の立場を守るための試金石でもあった。
連戦にかける思い──ポイント圏内を目指して
2025年4月19日の第3戦では最後尾の20番手からスタートしたが、7つ順位を上げて13位でフィニッシュ。着実に順位を上げた。

「目標はポイント獲得、10位以内です」と意気込んだ2025年4月20日の第4戦。さらに上の順位を目指していた。そんな彼の背中を後押しするのが応援を寄せるファンの存在だ。
「テレビで沖縄から頑張っている姿を見て応援したくなった」「走りに人柄がにじみ出ていて好き。今年1年ずっと走ってほしい」

平良選手は「思うような結果が出せなくてもファンとの交流で元気をもらえる。とにかく諦めずに前に進みたい」と前を向く。
勝負の第4戦、無念のクラッシュ
迎えた第4戦、またも20番手スタートからの追い上げを狙ったが開始直後に思わぬアクシデントが発生した。

実況「後方三台が接触!止まったのは平良響」

マシンから降りた平良選手はうなだれながらコースを後にした。レースは一周も完走できず無念のリタイア。
「とても悔しい。特に決勝を走りきりたかったが1周目の1コーナーでクラッシュしてしまった。タイヤが十分に温まっておらずロックしてグリップを失い、接触してしまった」と肩を落とした。

支えるチームと、次戦への決意
平良選手を高校時代から見守ってきた片岡龍也監督は「普段はあんなミスをするタイプではないので精神的に追い詰められていたのかもしれない。これを乗りこえ自信を持って強くなっていくことが必要。スーパーフォーミュラに限らず、レース界で生き残っていくための成長に期待している」と平良選手の心情をおしはかる。

正念場・オートポリス戦へ
2025年5月、大分県のオートポリスで行われる第5戦が平良選手にとっての運命を分ける一戦となる。
「次のオートポリス戦が最後になるかもしれない。だからこそ、できる限りの準備をして挑みたい。本当にレベルの高い世界だがこの状況を乗り越えて、いずれは表彰台争いができるドライバーになりたい」と意気込む平良選手。

沖縄のモータースポーツ界を自身の走りで盛り上げたい──。地元の期待を背に、平良選手は奮闘を続けながら前を向き次なる戦いへとアクセルを踏みこむ。
(沖縄テレビ)