食事中にふと聞こえる「咀嚼音」(そしゃくおん)が、気になったことはないだろうか。
特に「クチャクチャ」という“クチャ音”は嫌われがち。外食などの場面でしばしば出てしまう人もいるが、原因はあるのだろうか。
口腔関係に詳しい、歯科医院「宇宙歯科クリニック」の深見隼人さんに聞いた。クチャ音が頻繁に出る人には、共通点があるという。
咀嚼音が出るメカニズム
咀嚼音と言っても、その聞こえ方はさまざま。「ザクザク」「シャクシャク」といった音はそこまで気にならないが、「クチャクチャ」という音はなぜ出てしまうのか。
「(1)口周りの筋力が衰えている。(2)舌が食事中にうまく動かせない。(3)鼻呼吸ができていない。これらが関係すると考えられます」

深見さんによれば、人間の口周りには「口輪筋」という筋肉があり、使う機会が少なかったり年齢を重ねたりすると衰えてしまう。衰えると、無意識のうちに口が開きやすくなる。
また、舌は口内に入れた食べ物を運んだり、飲み込んだりするときに役立っている。そのため、うまく動かせていないと、咀嚼や嚥下(えんげ)に苦労しやすい。
そして、鼻呼吸はできていないと、自然と口呼吸になりやすいそうだ。

これら(1)(2)(3)が重なると、食事では「口が開きがちで、咀嚼や嚥下に苦労しながら、口呼吸をする」ことになる。そうしてクチャ音が出てしまうのだという。
「このほかにも、歯並びや扁桃腺の肥大などが影響することもあります」
気になるレベルの音はなぜ出る?
咀嚼音は完全に抑えるのは難しいというが、周りが気になるレベルの音が頻繁に出てしまう人には、3つの共通点があるそうだ。