政府は就職氷河期世代支援の初会合を開き、石破首相が就労・社会参加・高齢期の三本柱強化を指示した。対象は30代後半から50代前半の約1700万人で、各党も動画チャンネルの立ち上げるなど、制度の見直しが急がれている。世代間対立を避ける為、広い支援が課題だ。

「氷河期世代」支援へ3本柱の対策

政府は25日、「ある世代」の支援に関する初会合を開いた。
今、その「ある世代」を巡って、各党がこぞって対策を打ち出している。

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25日午前7時半頃、就職氷河期世代への支援について石破首相は「成果が出ている一方、今なお、困難を抱えている方が大勢いる」として、就労支援など3本柱の対策を指示した。

石破首相:
就労処遇改善に向けた支援、社会参加に向けた段階的支援、高齢期を見据えた支援という3本柱に沿って、関連政策の充実強化に向けた検討をお願いいたします。

さらに25日、立憲民主党も正午過ぎに政策提言を行い、国民民主党も4月にYouTubeに「就職氷河期」世代に向けた公式チャンネルを立ち上げるなど、議論が活発化している。

国民民主党公式YouTubeより(4月18日公開):
就職氷河期の対策をしっかりと発信をし、また皆さんのご意見も伺いたいと思っています。

そもそも「就職氷河期世代」とは、どの世代のことを指すのか。
内閣府によると、バブル崩壊後の1993年から2004年頃、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代のことだとされている。

現在、おおむね30代後半から50代前半の方が当てはまり、約1700万人いると言われており、専門家の永濱さんはこの世代の特徴について、こう話している。

第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミスト:
バブルが崩壊して企業が採用を絞ったことでなかなか希望の会社に入れず、それなりの有名大学を出ててもなかなか正社員にありつけず、非正規で働かざるを得ないという学生も結構いた。

政府が公表した、2024年度の大学生の就職率は98.1%。それに比べて、就職氷河期世代の就職率は平均7割程度だった。
当時、職を探す際どのような苦労をしたのだろうか。

45歳:
まさに就職氷河期で内定が全然出ない。100社まではいかないが、説明会とか全部入れると、50社以上。友人で就職浪人した人もいましたね。

53歳:
やっぱり内定とるの、結構そのときは苦労したかなという感じがしますね。いくつも(会社)受けた。(卒業後も)バイトとかしてた人もいますし、バイト先に仕方なく入った人もいたと思います。

さらに社会人になった後も、経済情勢が悪化した。2008年のリーマン・ショック後には、就職氷河期に派遣労働者として働いていた方が、仕事や住む場所を失うということがあった。
彼らを支援するため、「年越し派遣村」と呼ばれる、臨時的な施設も登場した。

就職活動の失敗や非正規雇用などで、若い頃に正規の職に就けず、厚生年金に加入していない期間があることなどから、将来もらえる年金の額が少なくなる人もいると指摘されている。
こうした現状について、就職氷河期世代の方はどう感じているのか。

44歳:
(私たちの世代は)バブルもありましたし、いろんなことを経ての話なので、運が悪かったとしか言いようがないと思います。

世代間の争い防止…幅広い支援が重要に

青井キャスター:
この就職氷河期世代、支援は必要でしょうけれどもね。

SPキャスター柳澤秀夫さん:
どうして僕たちだけ、私たちだけって踏んだり蹴ったりになってしまうのかという気持ちもあると思います。でも世代の話をしてしまうと、世代間の分断みたいなものが生じかねないから、そこも気を使わなければいけないところですよね。

青井キャスター:
そんな中ですが、25日は多くの企業で初任給の支給日です。近年は賃上げが進みまして、中には、30万円を超える会社も出てきました。ただ一方で、これまで就職氷河期世代への支援は、十分ではなかったと専門家の永濱さんは言います。

第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミスト:
2019年から就職氷河期世代支援プログラムが始まり、相談をするような仕組みを作ったが、なかなか支援が身になってない状況でした。政府のおそらくPR不足が一つと、(氷河期世代は)当時自己責任論が流行って、なかなか前向きな行動ができにくいという特徴も影響していると思います。

一方で、政策を世代で区切ると、世代間の争いが生じる可能性があるため、幅広い支援が重要だという。世代を問わず、皆が安心して働ける環境がますます求められている。
(「イット!」4月25日放送より)

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