今年、富山県内の漁港ではクロマグロが急増している。本来なら豊漁といえる状況だが、漁師たちは手放しで喜べない。資源管理のための漁獲枠がすでに上限に迫っており、獲れたマグロをそのまま海へ逃がすしかない状況が続いているからだ。「黒いダイヤモンドといわれているが、今はもう石ころ」—現場の漁労長は嘆息をもらした。

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過去2年比で172倍、富山市漁協が1日14〜15本

2026年1月
2026年1月

富山市の四方漁港では今年、大型のクロマグロが次々と水揚げされた。なかには200キロ近い個体もあり、大型魚がズラリと並ぶ光景はこれまでにないものだという。

大門漁業(四方)の門島衛漁労長は「マグロは増えている。大型魚がこんなに獲れるのは今までない。4月に獲ったときは富山市漁協として1日で14〜15本あがった」と話す。

水産庁のデータによれば、今年、県内で水揚げされた大型クロマグロは4月末時点で17.2トン。過去2年の同じ時期と比較すると、実に172倍という驚異的な数字だ。

漁獲枠の9割に到達、四方漁港は4月末から水揚げ停止

これほどの豊漁であっても、漁師たちが喜べない理由がある。背景には国が資源管理のためにクロマグロへ漁獲枠を設けていることが関係している。

県によると、氷見と新湊を除く県内漁港で4月と5月に水揚げされた大型クロマグロは、すでに今年度の漁獲枠の9割に達している。そのため、四方漁港では4月末から大型クロマグロの水揚げを行わない方針を決定。網に入った個体もそのまま海へ放流している。

門島漁労長は「今は放流している。うちの網は開放する場所があるのでそこからマグロを逃がす」と説明する。

「邪魔」とさえ感じる現実、放流時に他の魚まで逃げる

放流するだけなら損失は抑えられるように思えるが、現場ではさらなる問題が起きている。

「正直なところ邪魔。本当は売ることができればと思う。黒のダイヤモンドといわれているが、今はもう石ころ。(マグロを)放流すると、ほかの魚も出ていってしまう。一度マグロ放流のため、網に入った魚がすべてなくなったことがあった」と門島漁労長は打ち明ける。

クロマグロを放流する際、網の一部を開放すると、そこから他の魚まで逃げてしまう。漁獲枠を守るために行う放流が、別の魚の水揚げ機会まで奪うという状況が生まれていた。

資源管理の成果が急増の背景に

では、なぜここまでクロマグロが増えているのか。富山だけでなく、全国的にも同様の傾向が続いている。

国立研究開発法人水産研究・教育機構の田中寛繁さんは「資源管理の影響が出ている。各国による管理が始まって資源が回復してきた。小型魚の保護をしたことで、小型の時期にとられなかった個体が生き残って大きくなったのでは」と分析する。

同機構の塚原洋平さんも「ISC(北太平洋マグロ類国際科学委員会)の方で資源評価している内容では、将来的にどこかで高止まりするだろうと考えている」と見通しを示す。

来年以降、漁獲枠を25%拡大へ

2026年1月
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この状況を受け、水産庁はクロマグロの資源が回復傾向にあると判断。来年以降の漁獲枠を25%拡大する方針を示しており、来月開かれる国際会議でその提案を行う予定だ。

枠が拡大されれば、富山県内の漁師たちが「黒いダイヤ」を本来の価値で売り出せる日が近づく。安定した資源管理を前提に、豊漁で水揚げできる日が来ることを漁師たちも待ち望んでいる。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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