紫外線がリスクとなり引き起こす病気に「皮膚がん」がある。一見、ほくろのように見えるものもあるが、実は悪性に進行する恐れがあるものも。見分け方や注意点を専門医に聞いた。
要注意!高齢者の皮膚がん
田島嘉晃アナウンサー:
「紫外線量が増えてくるこの時期、気になるのは日焼けだけではありません。皮膚がんのリスクも高まります」
さまざまな種類がある皮膚がん。その一部は紫外線と深く関係している。特に注意が必要なのが高齢者の皮膚がんだ。

福井大学医学部附属病院の小高愛莉奈医師は「高齢化に伴い高齢者の皮膚がんが増えている」と指摘。「紫外線に関わる皮膚がんは高齢者が多く、顔や手、首など日光にさらされやすい部分にできやすい」。その皮膚がんの一つが「日光角化症」。長年の紫外線ダメージが原因で顔や手の甲など露出した部分に、赤くカサカサしたりザラついたりする症状が現れる。放置すれば悪性のがんに進行する恐れもあるという。

リスク低減には「遮光」
紫外線を完全に避けることはできないが「遮光”でリスクは大きく減らせる」と小高医師。「長時間、屋外にいる時は日焼け止めを塗ったり帽子やサンバイザーをかぶったりして、物理的に日光を遮断する方法を」と呼び掛ける。

他の臓器へ転移も…
もう一つ、小高医師が見逃せないとするのが「ほくろがガン化したものが悪性黒色腫、メラノーマ」だという。見た目はほくろにそっくりで、日本人は10万人当たり年間1~2人の割合で発症している。日本人は手足などの体の末端部分に多いということだが、全身のどこにでも生じる可能性がある。進行すると他の臓器へ転移することもある。

悪性黒色腫の見分け方
特に爪の悪性黒色腫は日本人に多く見られるという。黒い線の幅が広がったり、爪の周りの皮膚が黒く染み出し、爪が変形したりしている場合には、悪性黒色腫の疑いもある。
「ほくろ」と「悪性黒色腫」を見分けるポイントは▼形が左右非対称▼輪郭がギザギザ▼色ムラがある▼急に大きくなったなどの“変化”で、これらがある場合は要注意だ。
【悪性黒色腫かどうかの見分け方】
■全体の形が非対称
■縁がギザギザして不規則
■黒・茶・青など色が混在し、色ムラがある
■7mm以上の大きさ(生まれつきのほくろを除く)
■大きさや形が変化している
※新潟県立がんセンター新潟病院の資料より

しかし、小高医師は「皮膚科医でも判断が難しい時も多い。ほくろが最近、大きくなってきたり気になったりしたら、病院で診てもらうしかない」とする。
皮膚がんは他のガンよりも死亡率は低い傾向にはあるものの、決して油断せず、ほくろや肌の変化があれば迷わず、専門医に相談するようにしよう。
※小高愛莉奈医師の高ははしご高
