◆詐欺防止へ警察が啓発活動
10月15日は年金支給日です。福井県内の各地でも、高齢者に詐欺被害に遭わないよう警察などが注意を呼び掛けました。
県内11の警察署は、年金支給日に金融機関やATMがある施設で詐欺被害防止の呼び掛けを行っています。
このうち越前市では、越前警察署や市の消費者生活センターの職員らがチラシを配り、特殊詐欺や悪質商法の被害防止を呼びかけました。
今年1月から9月末までに、県内では41件の特殊詐欺が発生していて、被害の半数の20件を65歳以上の高齢者が占めています。被害件数が急増しているのは、警察官などをかたり金銭をだまし取るオレオレ詐欺です。
越前署生活安全課長・島崎智恵警部は「オレオレ詐欺の電話は国際電話からかかってくることが多い。国際電話が不要な方は、無料で利用休止できるサービスがあるので、その手続きをしてほしい」と注意を呼び掛けています。
国際電話の利用休止は、警察署やインターネットで手続きをすることができます。
◆「節約している」年金受給者
物価高が家計を直撃する中、高齢者は年金をどうやりくりしているのか、“秘訣”を聞きました。
年金受給者は―
「水も電気もみんな節約している。年金はたくさんはもらえないから」
「ぜいたくはできない。電気や水を節約している。(物価上昇の勢いが)ものすごい。生活しにくくなった」
「野菜を買ったら冷凍して調理できるように切り、使うときに出す。保存がきくように。年金も少しは上がっているのかもしれないが、物価上昇に追い付いていないので節約している」
「(節約術は)ないので、なかなか難しい。農業のバイトをしている。全体的に物価が上がっているので苦しい」
◆スーパーはシニア向けのサービス展開
こうした物価高や節約志向の高まりを背景に、企業側もシニア層に熱い視線を送っています。県内に3店舗、全国では23店舗を展開するスーパーセンター・PLANTでは、年金支給日に合わせて10%をポイントで還元するシニア世代にお得なサービスを始めました。
買い物に来た高齢者は「(キャンペーンを)楽しみにしていた。いつもより多く買ったので予算オーバー!」「年金をおろして来ました」と話していました。
キャンペーンの内容は、60歳以上の客がPLANTが展開する電子マネーを使って支払うと、10%分のポイントが還元されるというもの。1ポイントは1円として買い物に利用できます。
このキャンペーンは、シニア世代を応援しようと7月に3店舗、9月の敬老の日には全店舗で実施。反響が大きかったことから年金支給日に合わせて実施することにしました。
PLANTマーケティング部長の古宿達也さんは「物価高騰の折、年金受給者の客にお得に買い物をしてもらうために考えた」と話します。
メイン客層は40代~50代ですが、日常の利用客である60代以上のシニア層に働き掛けることで、囲い込みにつなげたい考えです。
古宿さんは「少子高齢化の中、ますますシニア世代の買い物が重要になってくる。こういうサービスを繰り返し行うことで次の買い物につなげていきたい」と話していました。
一方、シニアに抜群の人気を誇る勝山市のショッピングセンターでは、年金支給日の15日、開店の午前9時半に合わせて高齢者たちが集まっていました。シャッターが開くと同時にエスカレーターで2階に急ぎます。そこで配られたのは勝山サンプラザ恒例の「年金もち」です。
2009年12月に始まった人気のイベントで、年金支給日にはLINE登録した客の先着150人に餅が配られます。
受け取った高齢者は「うれしい。最高。やったー」「(年金もちは)毎回もらっている。サンプラザは友達がいっぱいいるから会えるのが楽しい」「サンプラザは自分の親の家に来たみたい。(店員は気さくな人ばかり)そうそう。やっぱ田舎やの。いいの田舎は」などと笑顔でした。
60歳以上の利用客が8割を超える勝山サンプラザでは、シニア層に足を運んでもらえる工夫を続けていて、年金もちを配布する隣には、葬儀や遺言・相続について相談できるコーナーも設置しています。
サンプラザでは「小規模のショッピングセンターとして、少しでもシルバーの方々に気兼ねなく足を運んでもらうことを目的に、シルバー層を意識した接客や商品の入れ替えを頑張っている。買い物以外でも来やすいと思って来てもらえることを第一に考えている」と話します。
シニア世代に繰り返し訪れてもらうことが、店の活気、まちの経済活性化につながる
ととらえた、高齢化社会の一歩進んだ取り組みです。
シニア向けサービスは、スーパーや飲食店、映画館など多様な業種で行われています。
県民生活協同組合が運営するスーパー「ハーツ」でも、シニア割を実施する曜日にはシニア層(60歳以上)の来店が3割増えているそうです。
高齢化が進む中、企業もシニア層への働き掛けを強化しています。