3つ目は、山での「歩く・休む位置」だ。

登山道などでは、山側のふち(赤丸で囲った部分)に多く潜むという(画像はイメージ)
登山道などでは、山側のふち(赤丸で囲った部分)に多く潜むという(画像はイメージ)

「ヤマビルなどの歩行性の生物は“ふち”に沿って移動する習性があります。片側が崖などで下っている、反対側が山に接している道だと、山に接している側の“ふち”に多くいます。歩いたり休んだりするときは、そのような場所を避けておいた方がいいでしょう」

このほか乾燥に弱いので、直射日光が当たる乾いた場所では、遭遇しにくいそうだ。

吸血されたときの処置方法

最後に、吸血されたらどうすればいいかも聞いた。2つの手順で処置をしてほしいという。

(1)虫よけスプレーなどで取り除く
吸血されている最中なら、虫よけスプレーを吹きかけるとヤマビルが剥がれ落ちるそう。ない場合は塩、塩分を含んだ液体、消毒用エタノールでも代用できる。

ただし、血液が他人に付着すると血液感染の原因にもなり得るので注意する必要がある。素手で触るとかみついてくる可能性もあるので、剥がす際は袋を手に被せるなどの対策を。

(2)水で傷口をしっかりと洗い流す
剥がした後や吸血された後、傷口には止血を阻害するヒルジンが付着している状態だ。そのため流水で洗い流すことが大切。数分間、しっかり絞るように洗って体液を流すと止血できるほか、かゆみの予防にもつながる。

穴を開けたキャップがあれば、シャワーのように洗い流せる
穴を開けたキャップがあれば、シャワーのように洗い流せる

水道が使えない野山に行くなら、500mlのペットボトルを持ち歩くと便利だそう。別途、穴を開けたキャップを持っていけば、シャワーのようにして少ない水でも洗い流せるそうだ。その後はできれば、傷口を消毒してもおきたい。

アウトドアシーズンはこれからだ。ヤマビル対策を万全にして望んでほしい。

西海太介(にしうみ・だいすけ)
一般社団法人「セルズ環境教育デザイン研究所」代表理事所長。野外における危険生物対策の研究や教育を専門とし、大学や企業などでも教鞭をとる。著書に『身近にあふれる危険な生き物が3時間でわかる本』(明日香出版社)など。

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