名古屋市瑞穂区で2025年4月15日、折れたサクラの木の枝が走行中の自転車を直撃し、女性がケガをしました。原因とみられる「木の老齢化」は各地で問題となっていて、植え替えをするなどの対策が進んでいます。
■“名所100選”の場所で…当日は最大瞬間風速19m 強風によって折れたか
瑞穂区の山崎川沿いのサクラは、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。

その山崎川沿いで15日午後5時半ごろ、折れたサクラの木が倒れて走行中の自転車に直撃しました。自転車に乗っていた50代の女性が転び、顔や両膝を打撲するなどして搬送されました。

木は、横倒しになって道路をふさぎました。倒木の影響なのか、ガードレールもへこんでしまっています。
近所で働く人:
この辺りまで先っぽがきていましたから、かなり長い枝だと思います。あんな太いのが直撃したら、命に関わるよなと思っていたんですけど。
折れた枝の周りの長さはおよそ98センチでした。名古屋市内は15日、午後2時過ぎに最大瞬間風速19メートルを観測していて、強風によって枝が折れたとみられています。

木が折れた原因の1つに「老齢化」が挙げられています。
■三重では10万人が集まるイベントが「中止」に
桜の「老齢化」は、各地で問題となっています。
三重県四日市市の「海蔵川(かいぞうがわ)」は、1.5キロの堤防におよそ500本のソメイヨシノが植えられている桜の名所です。

しかし、桜の老齢化を理由に、2025年の「桜まつり」が中止となりました。例年10万人あまりが訪れるイベントですが、樹木医からおよそ250本ある老木の4分の3に倒木や枝折れの可能性があるとの指摘を受け、中止を決断したといいます。

愛知県岡崎市にある岡崎城公園でも、2017年に比べてソメイヨシノが25本減るなど、老齢化が課題となっています。

そこで岡崎市は、桜の植え替え費用をクラウドファンディングで募集しました。すると、目標額を上回る3600万円以上の支援が集まり、今後150本の桜を植え替えていく予定です。

岡崎市企画課の担当者:
「桜花咲(おかざき)プロジェクト」と銘打ちまして、景観の復活に取り組んでまいりました。過去から紡がれてきた桜の景色を、ぜひ子供たちにも紡いでいきたいと思っております。10年後も20年後も、桜でいっぱいの岡崎城公園になるといいなと思っております。
■事故を受けて緊急点検…病気に強い品種への植え替え進む
瑞穂区で起きた倒木事故を受け、名古屋市は19日、緊急点検を実施しました。職員が木づちなどを使って、幹が腐っていないか、空洞がないかなどを調べていきました。

緊急点検は、山崎川沿いの桜およそ760本を対象に、4月末までをメドに行われる予定です。
また、2021年から病気に強い「ジンダイアケボノ」という品種への植え替えを進めているといいます。

瑞穂土木事務所の山田薫夫所長:
(ジンダイアケボノは)病気にちょっと強い、木としては少し小ぶり、ソメイヨシノには似通っている。同じような事故を起こしてはいけない。
日本人が愛してやまない桜ですが、各地で進む老齢化に、対策が急務となっています。
(東海テレビ)