看板デザインが決まれば早いそうで、申し込みから1カ月程度で広告を載せることができるという。

消火栓標識株式会社内で印刷した消火栓標識の広告
消火栓標識株式会社内で印刷した消火栓標識の広告

文字だけでなく、印刷技術も発達したことで、写真も入れることができるようになった。景観に関するルールが定められている自治体もあるが、基本的に制限はなく、公序良俗に則っていればどのようなデザインも可能とのこと。

新しい標識は年に数十本ほど建つことがあるようで、麻布台ヒルズにも建てる予定だという。

ただ、毛利社長の一番の思いは、「いざというときに役立つために」というところにある。

設置に携わることで防災意識も高まっていく(画像提供:消火栓標識株式会社)
設置に携わることで防災意識も高まっていく(画像提供:消火栓標識株式会社)

「消火栓標識があるところに車を止めない。荷物を置かない。それを知ってほしいです。実際に全国で火事が起きた際に消防隊員が、消火栓を開けられないことがあるのです。もちろん我々としてはビジネスでもあるので、広告が入ることも大切ですが、消火栓標識と消火栓の認知を広げることも必要だと考えています。そのために標識を抜くことなく、維持管理しているのです」

とある商店が消火栓のマンホールの上に陳列していたりする場面を見たこともあるそうだ。

「消防隊員が場所を把握していても、消火栓が隠れていたら探す時間が生まれ、物を置いていたらどかす時間も。こういうことは全国であって、たまたま火事がないだけ。でも、なにかあって初めて気づくのです」

役に立たなくなることを防ぎたい

「でも、地面にはたくさんマンホールがあって、どれが消火栓かなんてわからないですよね」と毛利社長。だからこそ、より多くの人に目印となる「消火栓標識」の存在を知ってもらいたいと訴える。

大きな災害も増え、人々の防災意識が高まっている。とは言え、防災に関して、まだまだ知らないことがあるのが現状だ。

「役に立つことより、消火栓標識や消火栓が機能しなくなることを防ぐことも大切なこと。『ここで消火栓標識が役に立ちました!』という実感がないだけで、有事の際の目印になっていることは間違いありません」

危機があって初めて、必要だった!と意識することもあるだろう。家の近くにある消火栓標識の場所を知る、それだけでも自分の街の防災につながるはずだ。

プライムオンライン特集班
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