ジューシーな脂がとろけるフワッと柔らかいハラミ。焼肉の定番だが、円安や光熱費の高騰で、食べられなくなる日が来るかもしれない。

店主「タンとかハラミは(仕入れ値が)ほぼ90%」

訪れたのは、焼肉“激戦区”、東京の下町・荒川区の「焼き肉伽耶」。

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記者リポート:
店内満席ですね。沢山の人でにぎわっています。

創業50年の老舗焼き肉店「焼き肉伽耶」の人気メニュー、上タンをほおばり…「おいしいです!」

店内の客からは、「誕生日のお祝いで来ました」「良いお肉の割に安い」「もう20年くらいほぼ月1(で来てる)」といった声が聞かれた。

「安くて美味しい」を求めて訪れる、多くの常連客で店は大繁盛しているが、店主からは苦悩の声が聞かれた。

焼き肉伽耶・店主:
肉の価格が上がりすぎだよね。近々(値上げ)すると思うけど、なるべく頑張って、でもそろそろ限界かな…。

苦しい経営状況が続いていると訴える店主。

帝国データバンクによると、2024年度の焼肉店の倒産は過去最多を記録。
主な原因は、円安による輸入牛肉の高騰や電気やガス代など、店を運営するためのコストの増加。

焼き肉伽耶・店主:
売り上げに対する仕入れのパーセンテージは5~6割を超えているよね。
タンとかハラミに関しては、(仕入れ値が)ほぼ90%とか。

専門家「小規模店舗ほど価格転嫁が難しい」

そこで、少しでも無駄をなくそうと店主が行っていたのが営業時間の調整。

焼き肉伽耶・店主:
営業時間を短縮していますね。以前は(午前)1~2時までやっていたけど、今はだいたい(午後)11時には閉めます。

客の来店状況に合わせて営業時間を短縮。さらに…。

焼き肉伽耶・店主:
今までは店に入ったら電気全開だったけど、今は仕込む時は仕込む場所だけ電気をつけて。
肉の質を維持しながら、いかにやっていくか、省くところは省いて。

苦しい経営状況を打破する秘策はあるのか?

第一生命経済研究所 首席エコノミスト・永濱利廣氏:
小規模店舗ほど価格転嫁が難しい。競争が激化して、優劣が激しくなってくると(大手との)格差が広がっていく状況になる。地元の食材を使ったり、地域のイベントに積極的に参加したり、地域密着度合いを高めることが方策として考えられる。
(「イット!」4月3日放送より)