私の知り合いに、大手メーカーの幹部Yさんがいます。
笑顔を絶やさない穏やかな人で、「こんなに優しくて、部下をまとめることができるのかな」とチラッと思うこともありました。ある時打ち合わせをしていると、Yさんの部下が会議に遅れてきた。
するとYさんはビシッとした声で、「いつも私は、時間は守るように、と言っているでしょう。遅れる場合は連絡を入れてください!」と言ったのです。部下は神妙な顔をし、頭を下げました。

別の機会にその部下から話を聞くと、「Yさん、他のことでは優しいんですけど、『時間を守る』が持論らしく、これを破ると厳しく注意されるんです。いわゆる虎の尾を踏んだ状態です」とささやいてくれました。
これが、Yさんが多くの部下をまとめる秘訣だったんですね。「時間を守る」という持論を日頃から周りの人に伝えている。それを虎の尾にして、踏んだ人は注意する。すると部下は、上司の優しい人柄の中に、厳しさを見ます。
ポリシーを決めたら守りたいこと
ここのポイントは3つあります。
(1)虎の尾(=曲げられないポリシー)を、普段から周囲に伝えておく
急に怒っては相手も驚いてしまいます。「この点については守ってほしい」というポイントを普段から伝えておくことで、相手がその「虎の尾」を踏んだ場合に、しっかりと注意することが可能になります。
(2)「虎の尾」の数は絞る
「取引先に迷惑をかけないでほしい」「完成させる前に必ず確認に来てほしい」など、「これだけは守ってほしい」と思うポイントを1~2個に絞りましょう。その際、重箱の隅をつつくような細かい内容は避けるべきです。