24日に世界屈指の半導体メーカー「台湾積体電路製造(TSMC)」の新工場がオープンする熊本県菊陽町。
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“半導体バブル”に、地元飲食店が盛り上がり、工場のある駅では無人駅にもかかわらず、通勤ラッシュが発生する事態になっています。
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大手・半導体メーカーの参入で熊本にどのような変化が訪れるのか?専門家に詳しく聞きました。
熊本に“半導体バブル”
以前までは利用者も少なかった、菊陽町にある無人駅の原水駅。しかし、22日の朝に駅を訪れると、そこにはまるで、東京のような通勤ラッシュが。
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バス停にも、60人以上が並んでいました。
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半導体の受託生産で世界最大手の企業が熊本に来ると、町全体がお祭りムード。
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役場には歓迎の垂れ幕がかかり、スーパーには台湾食材のコーナーが設置されていました。
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飲食店にも多くの客が押し寄せ、夫がTSMCに関わる仕事をしているという客の一人は、その景気の良さを話します。
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夫がTSMCに関わる仕事をしている女性:
(夫の仕事は)3倍近く増えているんじゃないですか?2倍~3倍ぐらい。
――ぜいたくできるようになったことは?
隣に20坪ぐらいの土地が余っていたんで、買いました。200万ぐらい。
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熊本空港近くのホテル「エアポートホテル熊本」も、TSMC関係者が宿泊するためか、2023年の6月から12月は、ほぼ毎日満室。今年に入っても満席近い状態が続いています。客の全体2割が台湾から来た人で、対応のために台湾出身のスタッフを雇ったといいます。
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また、工場付近の駅周辺にも、続々とチェーン点の飲食店が進出。
半導体工場進出による経済効果などに詳しい、東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授は、現在の町の様子についてこう話します。
![東京大学公共政策大学院 鈴木一人教授](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/f/700mw/img_7f61d86290afe10368d8810e5f97fa46514191.jpg)
――工場が来ると分かったときに、ここまでの影響は想定していたのでしょうか?
鈴木一人教授:
何らかの効果があるということは想定していたと思うんですけども、これほどの人が集まるということは想定していなかったのではないのかなと。これからインフラが足りない、学校ですとか飲食店だけではなくて住む場所などの問題もこれから出てくると思います。
賃金が大きく変化 一方で不安も
この盛り上がりの理由のひとつとして、大きく変化した「賃金」があります。
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熊本県の現在の最低賃金は、時給898円。その一方で、TSMC関連のアルバイトの時給は、資材管理で時給1900円、さらに食堂の調理補助などでも、時給1300円以上と破格となっています。
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ホテルやマンションの建設ラッシュも進んでおり、人手不足を補うためにこれらに携わる人々の賃金も上がっているといいます。
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――今後どんな職種の方に影響が出てくると思いますか?
鈴木一人教授:
これはあらゆる職種の方に影響が出てくると思います。給料の面ももちろんですけども、全国から人出が集まってくるので、この地域の雇用を巡る競争も激しくなってくると。雇う側の競争も激しいんですけども、雇われる側もより高い給料の所に人材が集まるので、誰がいい給料を得るのかの競争も激しくなってくると思いますし、飲食ですとか、建設だけではなくて、それこそあらゆる分野、交通や宿泊施設そういったところも、大きな影響があると思います。
![工場近隣に広がる農地](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/3/700mw/img_b38535f71445a3db3d7ee4c5243dea52630460.jpg)
――地元に住んでいるけれど、TSMC関連ではない方は、給料は変わらないのに物価だけ上がるということも?
鈴木一人教授:
はい、それはあると思います。実際もともとそこで農業をやっていた方なんかにすれば、突然売り上げが上がるわけではないので、生活費が急騰するという恐れもありますし、ただ土地の値段がすごく上がっていくと思います。そうすると農業の方が農地を手放すですとか、そういったことも増えてくると思いますし、街づくり計画という点でもどのような形で、今の農地との共存を図っていくか、そういったことが問題になってくると思います。
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今後見込まれている経済効果は、2030年までの10年で約20兆円を超えるともいわれています。
しかし一方で、地元からは不安の声も…。
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古くからある飲食店の常連客:
新しい施設ができて発展していく半面、土地代が上がってなくなる店もある。こういう昔からある店は無くならないでほしい。
サツマイモ農家:
TSMCの近くに畑があって、道路拡張の話しもあるので、そうなるとその畑では作業できない。畑が減ってしまうのは不安。
フジテレビ解説委員 風間晋氏:
日本の地方というのは、基本的には新規雇用を伴うビジネスを誘致したいというのは基本なんです。それが経済の活性化につながりますから。でも、このTSMCは規模とかお金がとにかく桁違いに動くので、その分変化の大きさとか、変化のスピードというのも大きい。それが不安の大きさにもつながってくるというのは、必ずあると思うんです。
一方で、これから地方所得税とか住民税とか、地方消費税とかが入ってくるわけです、自治体に。やはりそういう資源を使って皆さんの不安の解消や、地域のトータルな発展にどのように続けていくのか、自治体の腕の見せどころだと思います。
(「めざまし8」2月23日放送より)