売春目的で路上に立つ、いわゆる「立ちんぼ」。
大阪キタの繁華街で急増したことを受けて去年、警察などが、対策を講じてきましたが、現状はどうなっているのだろうか。
■【動画で見る】大阪・梅田の”立ちんぼ”対策の効果を取材すると...

取材を進めると、摘発を逃れるために、より巧妙に売春が行われている現状が見えてきた。

■大阪キタで「立ちんぼ」対策 道路が黄色に
記者リポート:ちょうど話しかけてる人がいますね。交渉してますね。
4月1日、午後7時頃。
大阪市中央区には、売春目的で路上に立つ女性たちの姿が。
記者が話しかけると…。
女性:警察?
記者:警察じゃないです。関西テレビの記者です。
女性:(風俗店で働くと)中抜きも嫌だし、相手選べないっていうのがでかいです。

摘発を気にしながらも横行する売春行為。
警察などは大阪のキタで、ある「異例の対策」を行った。
記者リポート:こちらの道路ですが、先の方まで道が黄色に塗られています。こちらには明るく開放的な海の生き物の絵が描かれています。
梅田エリアの繁華街・太融寺町。
去年の年末、ラブホテルが立ち並ぶ一角の道路が黄色に塗られたのだ。

■「立ちんぼ」で逮捕されたのは30人 対策は「目立つ場所を嫌がる人間の心理」を利用
この場所では、おととしから去年にかけて、いわゆる「立ちんぼ」が急増していた。
去年11月の取材では…。
(Q.いくらくらいでやっている?)
女性:相場くらい。
(Q.相場どれくらい?)
女性:言ってって。
(Q.1万5000円ぐらい?)
女性:…(うなずく)。
記者リポート:今、男の人が女の人と交渉しているように見えます。2人で歩き出しましたね。
去年、このエリアで売春を目的に客を待ち、逮捕された人の数は、30人にのぼった。
地域の治安悪化も懸念され、去年12月に打たれた対策が、道路を明るい色に塗ることだった。「目立つ場所を嫌がる人間の心理」を利用した取り組みだ。

■対策して4カ月 対策の効果で9割減少
4カ月が経過して、対策の効果はあるのだろうか?
警察の調査によると、塗装前は一度に最大17人、平均すると7人ほどが立っていた。
塗装後のことし2月は平均で0.9人に。およそ9割減少したという。
街の人:少なくなったイメージあります。
街の人:良いんちゃうかなと思います。(立ちんぼは)イメージ悪いから。

■消えた梅田にいた「立ちんぼ」 ミナミで取材すると「移動した」
実際にそうなのか、現場を取材してみると…路上にいたのは女性2人のみだった。
別の日の夜も1人だけで、対策の効果が一定あるようだ。
では、これまでこのエリアにいた9割の女性は「売春を辞めた」のか。
同じく客待ち行為が横行しているミナミで取材をすると…。
「以前は太融寺にいた」という女性に出会った。
道が黄色に塗られたことで売春をする人が減ったことに加えて、警察が取り締まりを強化したため、「移動した」と話す。

■摘発リスクを回避して“出会い系居酒屋”に潜伏
さらにこんな証言も。
大阪の風俗店関係者:出会い系居酒屋に潜伏して、新しい人を引っ張ってくる。
「出会い系居酒屋」は、来店した初対面の男女が同じ席で飲食や会話を楽しむ店で、女性たちはここで新たに客を探しているというのだ。
大阪の風俗店関係者:(知人が)太融寺に立ってた子なんですけど。1回摘発されて捕まってから、また路上に立つのがリスクがあるから、出会い系居酒屋にずっと行ってる。『帰るところがない』と自分で切り出して、『助けてほしい』みたいな。金銭援助してほしいという感じの方向にもっていく。そこでうまくいった子たちが、味を占めて同じ店に通う。
場所を変えて横行する売春行為。
手口はより巧妙に、そして複雑化しているようだ。

■「承認欲求を満たすために居座る人も」と加藤デスクの指摘
売春目的で客待ちをする女性が減ったようにも見えたが、移動して、売春をやめたわけではないということが取材で分かった。
売春をする背景には「居場所のなかった人の承認欲求」と関西テレビの加藤さゆり報道デスクは話す。
関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:立ちんぼをなさってる方々の多くが、それを心から望んでやってるかというと、そういうわけでもないと言われています。というのも、その多くがホストに入れ込んでしまって多額の売掛金を持っていたり、元々、家庭環境が複雑で家に居場所がないとか、学校には居場所がなくて、経済状況も良くなくて、その中で生きて行くために『承認欲求』みたいなものが、どんどん出てくるわけです。自分の居場所がない方々にとっては。そうすると、こういう所はすごく刹那的なんだけれども、ある種の自分の承認欲求を満たされるというとこで、こういう所に居座ってしまうという方々も多くいらっしゃると、支援する団体の方々はおっしゃっています。
売春は、不法行為ですし、危険な目にあう恐れもある。
そのあたりをしっかりと認識していただきたい。
(関西テレビ「newsランナー」2025年4月2日放送)
