食の雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。
植野さんが紹介するのは「卵料理」。これまで植野食堂では、約50皿の卵料理を学んできた。今回は東京・銀座にある和食店「銀座菊正」を舞台に、今まで放送した卵料理の中から、印象に残った一皿を紹介。食いしん坊植野流“卵は愛情”の真意に迫る。
銀座の和食店「銀座菊正」の玉子焼き
銀座駅から徒歩2分、銀座の裏通りで、半世紀以上のれんを守り続ける和食の店「銀座菊正」。
2代目、佐藤和夏奈さんと母・由紀江さん母娘で切り盛りしているこの店は、丁寧な仕事ぶりと飾らない人柄で常連客の絶えない店だ。

ランチタイムの魚を使った和定食と並んで人気なのが、教えてもらった店の名物でもある「玉子焼き」。
前回、玉子焼きの返しにだいぶ苦労した植野さんは「卵のコクと出汁の旨味が一体となっている」と絶賛していた。

今回改めて訪れ、再び学んだ植野さんは「卵のおいしさがじゅわーっと染みていく」と味わっていた。
2代目・和夏奈さんは「父からのお守り」だとするこの玉子焼きに、植野さんは「常連さんにとってもお守りみたいな味。卵料理には、優しいや柔らかいとかあると思いますが、それだけではなくて、凛とした部分や厳しい部分もある。卵料理はそういったことがすべて含まれた愛情だと思う」なので「卵は愛情」と表現した。
「銀座菊正」の卵焼きをはじめ、植野食堂で学んできたさまざまな卵料理の中から、植野さんの印象に残った「卵は愛情」を紹介していく。