財産を探し出すヒント

具体的な金額について聞くのは憚られるとしても、どこの銀行に口座がある、どこの証券会社と契約しているのかを教えてもらうだけで、その後の負担は大きく変わります。最近の趣味や習い事について話しておくのもサブスクリプションなどの把握のためにも、有益となります。

また、役所から届く固定資産税の資料や金融機関から届く郵送物を見せてもらうのも有益です。スマホで写真を取っておけば、後で確認することができます。

親が乗り気になれば、エンディングノートを渡すのもよいでしょう。簡単な財産のリストを書いてもらう方法もあります。

親が入院や施設に入所することになり、「何かあったら頼むよ」「いつどうなるか分かならい」などと言ってきたタイミングも一つのキーポイントとなります。その時に、代わりに支払いができるよう口座を教えてもらうなどすると、将来的に役立ちます。

親子間での、ラポールの形成。これこそが、親が元気なうちにやっておくべきことなのです。

成熟した自分を親に見せることが、親孝行となり、相続への準備へとつながるのです。

岡信太郎
岡信太郎

司法書士、合気道家、坂本龍馬研究家。大学卒業後、司法書士のぞみ総合事務所を開設。政令指定都市の中で最も高齢化が進む北九州市で相続・遺言・成年後見業務を多数扱う。著書には『済ませておきたい死後の手続き 認知症時代の安心相続術』(角川新書)、『子どもなくても老後安心読本 相続、遺言、後見、葬式…』(朝日新書)、『財産消滅 老後の過酷な現実と財産を守る10の対策』(ポプラ社)など。