親にお金の話はしづらい…
このように財産の把握がとても重要であるにもかかわらず、Aさんのように、親が元気なうちに財産について何も聞いていなくて困る方が多くいます。
「気にはなっていたけれど、療養中の親に聞くことがためらわれた」「財産を狙っていると思われるのが嫌で、聞けなかった」「いざという時のために通帳を1冊だけ預かっていたが、その他は何も聞いていなかった」など、親子によって様々な事情があります。
また最近では、「ネット銀行を利用していたようだがどこの銀行か分からない」「どこのサブスクリプションに支払っているのか分からない」という話もよく聞きます。

両親のどちらかが健在であれば、安心でしょうか?どちらかが亡くなれば、遺された母又は父が財産について把握していると考えるのも、時としてつまずきになることがあります。
Aさんのように、親が高齢になり認知症の問題が相続に影を落とすこともあります。
相続でつまずかないために、親が元気な内から準備をしておくことが何より重要となります。
その上でやっておきたいのが、“ラポール”の形成です。ラポールとは信頼関係のことです。
改めて親子の“信頼関係”を築く
親子だからと何でも信頼してくれる訳ではありません。
親は自分の子供に対し、“この子に任せていいのか”“この子に大事なものを預けて大丈夫だろうか”といったことを、程度の差こそあれ常日頃から考えています。
そのため、普段の親子間のコミュニケーションが相続においてもとても大切なのです。やってはいけないのが、親の話をすぐに遮る、あるいは、話を否定することです。これでは、財産関係の把握は難しくなるでしょう。
子供には、傾聴(話を聴く)や受容(受け入れる)の姿勢が求められます。

相続が近づくような段階となると、親は高齢化しているので、これまで以上に頑固になったり、話が長くなったりしていることがあります。認知症の初期症状が出て、同じことを繰り返すこともあるかもしれません。
そんなときに、寄り添ってあげる、しっかりと話を聴いてあげることができれば、親の心も開いていくのではないでしょうか。改めて、信頼関係が構築できて、遺産のことについて話し合いができれば、スムーズな相続へとつながります。
相続の話をするステージというのは、子供が成長し包容力のある大人になったところを見せる場面でもあるのです。