死者1万5900人、行方不明者2520人。戦後最大の自然災害となった東日本大震災。あの日から11日で14年となりました。

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そして、発生から12日間にわたって延焼を続けた大船渡市の山林火災。2900ヘクタールが焼失、建物の被害は210棟に及びました。

被害を受けた地域には、14年前、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた地域も含まれています。

3月10日、山林火災による避難指示が全面解除。「めざまし8」は、避難解除後の大船渡を取材しました。

アワビ養殖場 甚大被害「またこんなことが…」

取材スタッフ:
山の木々が黒くなっており、民家があったのでしょうか、焼失してしまっています。いまだに少し焦げ臭いにおいもしてきます。

いたるところに残された火災の爪痕。

「めざまし8」が取材したのは、山林火災で最も被害の大きかった地域で、アワビの陸上養殖を営む古川季宏さん。

元正榮 北日本水産株式会社 古川季宏社長:
確認して初めて、自分が何をすべきか見えてくるので、そこからだと思いますよ。最悪は全滅。いくらか生き残ってくれていればいいですけど。

解除後、真っ先に向かったのは手塩にかけて育てたアワビの養殖場です。

――この中にアワビが?
古川季宏社長:

もう死んでいますね。

営業部長:
全部ダメだ。そこも全部見たけど。生きていると思っていたやつも全部ダメだ。
古川季宏社長:
やっぱりダメですね…。

約200万個のアワビが死滅していました。

古川季宏社長:
なんか、震災がまた戻ってきちゃった感じですよ。まさかね、またこんなことが起きるとは、本当誰も思ってないですね。

14年前に起きた東日本大震災。

昭和61年に創業し、父親の代から作り上げた養殖施設が津波で全壊しました。被害総額は20億円以上。

古川季宏社長:
施設造る分に関しては補助金とか結構あって、わりと作れるんですけど、その先なんです。戻るまでに3年かかるわけですから。3年分の運転資金ってなると、これもまた億単位かかってくるんです。これを自分でなんとかしなくちゃならない部分が、ありまして…。

そんな苦難を乗り越え、国内最大規模の施設を復活させ、「三陸翡翠あわび」としてブランド化。国内外に販路を広げてきました。

しかし、再び起きた自然災害による被害。

古川季宏社長:
真っ黒にひしゃげていますんで、これではとても使い物にならないですね。これを全て入れ替えないと場内に水は送れない状態ですよね。

揚水ポンプが焼けてしまい、長期間の停電も重なり酸欠と水質の悪化でほぼ全滅してしまったというアワビ。施設を復旧させたうえでアワビを出荷できるようになるまでには、最低でも3年かかるといいます。

再び訪れた危機ですが、14年前と同じように多くの人たちから応援の言葉や支援の申し入れが届いているといいます。

古川さんは…。

古川季宏社長:
おかげさまで皆さんに、応援していただける方も結構多いので、なんとか、それを力にして頑張ろうと思っています。「やるしかない」が本当ですね。こればっかりは。いかにメンタルを維持しながらできるかって話なので。社員もいますし、家族もいるので。

酒造会社 震災から得た教訓

同じ、大船渡市内の酒造会社は…。

酔仙酒造株式会社 金野泰明取締役:
弊社は、(東日本大震災で)言葉で言えば全壊。全流出。役員を含めて8人亡くなっていまして。当時は自社で何もできない状況だったので。

津波で、建物だけではなく、大切な社員までも失いました。幸い、今回、山火事での被害はありませんでしたが、真っ先におこなったことがあるといいます。

金野泰明取締役:
今度は自分たち何かできることはないかなって考えたときに、米で作った麹があるので、それで甘酒を持って行ったら、大変なとき甘いのとか温かいのっていうのはすごく力になるので、避難所に持って行くことにしました。

震災から得た教訓…14年がたち、人と人が「支え合うこと」の大切さを改めて感じていました。

(『めざまし8』3月11日放送より)